研究課題
平成28年度には、平成27年度に開発したセンサープローブの最適化を引き続き続行するとともに、個体レベルのCaMKシグナリングの役割探索を実施した。また昨年度に引き続き、線形性の高いカルシウムセンサーの応用用途を拡大するため、国際共同研究を進めた。1)数多くの単色Ca2+シグナルセンサーをアデノ随伴ウィルスベクターに搭載し、神経活動に伴うシグナル活性の時空間ダイナミクスの測定を試みた。その結果、fiber photometryにおける2色活動測定法を新たに編み出した(Kim et al. Nat. Met 2016)。また、海馬CA1神経細胞や扁桃体細胞などにカルシウムセンサーを導入し、1光子蛍光内視鏡イメージングを実施し、Ca2+シグナル・Ca2+エフェクター活性化の伝播・情報処理過程の可視化の条件検討を開始した。2)複数のCaMK分子種について、個体レベルのでノックアウト・ノックダウン実験を実施し、その細胞形態・回路形成・神経可塑性・行動レベルの表現型を解析した。その結果、CaMKIの発生期のノックダウン・ノックアウト、CaMKIVのノックダウンなどで、回路形成上や、長期記憶想起異常などが観察された。これらの前提となる、カルシウム・カルモジュリン依存性多機能キナーゼ(CaMK)ファミリーに関する総説を執筆し、Journal of Neurochemistryに掲載が確定した(Takemoto-Kimura et al. J. Neurochem. 2017)。
2: おおむね順調に進展している
当初研究計画に基づき、新規カルシウムセンサープローブの改良や個体内イメージングへの応用の実験条件検討が順調に進んでいる。また認知行動実験についても、引き続き、順調にデータが蓄積されつつある。
最終年度に向け、各種プローブのノウハウを確立し、さらにCaMKシグナルを破綻した動物モデルの解析を計画通りに進める。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
Journal of Neurochemistry
巻: 印刷中 ページ: -
doi: 10.1111/jnc.14020.
Nature Methods
巻: 13 ページ: 325-328
doi: 10.1038/nmeth.3770.