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2016 年度 実績報告書

幹細胞性獲得・維持のためのがん微小環境

研究課題

研究課題/領域番号 15H02361
研究機関金沢大学

研究代表者

平尾 敦  金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90343350)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード幹細胞
研究実績の概要

がんの悪性進展機序を理解する鍵として、幹細胞特性の獲得・維持機構が注目されている。本研究では、正常およびがん組織における幹細胞特性を研究対象として、栄養環境シグナルに焦点を当て、がん悪性進展の分子基盤の解明に取り組組んでいる。本年度は、mTOR複合体1 (mTORC1)の活性化因子であるRhebのT細胞系白血病(T-ALL)における役割を解析した。マウスモデルに加え、CRISPR/CAS9によるRHEB欠損ヒトT-ALL細胞株での解析を実施した。その結果、Rhebは核酸代謝を制御することにより、その増殖を支持していることが判明した。一方、脳腫瘍においては,mTORC1の負の制御因子である TSC1欠損膠芽腫モデルを用いて,mTORC1と悪性化の関連を検討した。その結果,mTORC1の活性亢進は,解糖系の亢進,ミトコンドリア機能の活性化を制御することにより,エネルギーの産生と需要のバランスを調和させることで、スフィア形成能や同所移植による腫瘍発症能の亢進など,膠芽腫の悪性進展を亢進させることを見いだした。さらに、ヒト脳腫瘍においても同様のシグナルが重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、mTORC2は、mTORC1と違い、エネルギーバランスというよりも、特定の白血病治療の感受性や悪性化機転において極めて重要な役割を果たしていることを見いだした。さらに,下流を探索することによって,メチオニン代謝や脂質代謝制御分子が重要である知見が見いだされた。
以上の結果より、栄養シグナルががんの幹細胞性制御にとって重要な制御因子として機能していることが明らかになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度まで推進してきた基盤研究で得られた成果や材料を十分に活用し、解析を進めることができたため、順調に研究が進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

栄養素やその感知シグナルに関する白血病・脳腫瘍未分化性制御メカニズムの解明を進め、将来の治療開発に寄与する成果を得ることを目標とする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] MIP-1α/CCL3-expressing basophil-lineage cells drive the leukemic hematopoiesis of chronic myeloid leukemia in mice2016

    • 著者名/発表者名
      Baba T, Tanabe Y, Yoshikawa S, Yamanishi Y, Morishita S, Komatsu N, Karasuyama H, Hirao A, Mukaida N.
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 127 ページ: 2607-17

    • DOI

      pii: blood-2015-10-673087

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Therapeutic Strategy for Targeting Aggressive Malignant Gliomas by Disrupting Their Energy Balance.2016

    • 著者名/発表者名
      Hegazy AM, Yamada D, Kobayashi M, Kohno S, Ueno M, Ali MA, Ohta K, Tadokoro Y, Ino Y, Todo T, Soga T, Takahashi C, Hirao A.
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 291 ページ: 21496-21509

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2015.12.1319

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Cooperative networks for stem cell homeostasis in normal and malignant hematopoiesis: from metabolism to epigenetics.2016

    • 著者名/発表者名
      Hirao A.
    • 雑誌名

      Int J Hematol

      巻: 103 ページ: 605-6

    • DOI

      10.1007/s12185-016-2012-4

  • [学会発表] 栄養シグナルと幹細胞制御2016

    • 著者名/発表者名
      平尾敦
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-12-01 – 2016-12-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Molecular mechanism regulating stem cell properties mediated by nutrient signals.2016

    • 著者名/発表者名
      Hirao A
    • 学会等名
      46th International Symposium of the Princess Takamatsu Cancer Research Fund
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      2016-11-07 – 2016-11-10
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Molecular mechanism linking hematopoietic stem cell aging and leukemogenesis.2016

    • 著者名/発表者名
      Hirao A
    • 学会等名
      Fifth JCA-AACR Special Joint Conference on the Latest Advances in Hematological Cancer Research
    • 発表場所
      Urayasu, Chiba
    • 年月日
      2016-07-13 – 2016-07-15
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] Regulation of Hematopoiesis and Hematological Disease by TGF-b Family Signaling Molecules2017

    • 著者名/発表者名
      Naka K., Hirao A
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      Cold Spring Harbor Laboratory Press

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公開日: 2018-01-16  

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