研究課題
本研究では、正常およびがん組織における幹細胞特性を研究対象として、栄養環境シグナルに焦点を当て、オートファジー、mTORなどのシグナル経路の役割とともに、高脂肪食による白血病の発症に関する研究を進めた。まず、オートファジーのがんにおける役割として、脳腫瘍患者由来細胞を用いて解析した結果、Ca濃度を上昇させる化合物によりオートファジーの活性化が認められること、引き続きミトコンドリア傷害が生じること、オートファジー阻害により化合物の感受性が亢進することを見いだした。さらに、同様の機能を有する化合物を探索した結果、新たに複数の中枢神経作動薬を特定した。この結果は、ミトコンドリア機能とオートファジーの関連を示す知見となった。mTOR関連シグナルとして、前年度から継続してメチオニン関連酵素のがん細胞における役割を解析した。本年度は、関連したシグナルとしてS‐adenosylmethionine(SAM)やS-Adenosyl homocysteine (SAH) を検討した。その結果、少なくとも通常の培養条件では、大きな変動がないことから、予想されるようなヒストンのメチル化の変動による影響ではない可能性が示唆された。また、本分子の白血病以外のがん細胞における役割を解析した結果、免疫不全マウスにおける体内での増殖には必須の役割があることを見いだし、メチオニン以外の経路の重要性が示された。マウスを用いて、栄養(ダイエット)と白血病幹細胞の関連を解析した結果、高脂肪食による腸内細菌叢の変化によって生じる異常な状態において、RAS-MAPK経路の制御因子であるSpred1の経路が、白血病の抑制分子として機能していることが判明した。本研究によって、白血病発症と腸内細菌叢との関連が明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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