本研究では,栄養環境変化に着目し,がんの幹細胞性の獲得・維持機構を理解することにより,がんの悪性進展の分子基盤を理解することを目的とした。その結果,mTORC1の活性亢進は,解糖系の亢進,ミトコンドリア機能の活性化を制御することにより,エネルギーの産生と需要のバランスを調和させることで膠芽腫の悪性進展に寄与すること,また,オートファジー阻害は,カルシウムイオンの動員と相乗的に抗がん作用を発揮することを見いだした。さらに,高脂肪食による腸内細菌叢の変化が引き金になる刺激に対して腫瘍化を抑制する新規の制御機構の解明に成功した。
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