研究課題/領域番号 |
15H02369
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白髭 克彦 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90273854)
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研究分担者 |
須谷 尚史 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (30401524)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 染色体高次構造 / 次世代シークエンサー / 細胞周期 / ゲノム維持 |
研究実績の概要 |
本申請課題では、転写や複製、修復、凝縮などのさまざまな核内諸反応が円滑かつ協調的に進行することを保障する染色体がもつメカニズムの解明を目標とし、染色体高次構造に焦点を当てた以下の研究を遂行した。平成27年度は、染色体高次構造に焦点を当てた1)染色体DNAの核内3次元構造をさまざまな階層レベルでゲノムワイドに掌握可能な解析システムの構築(ChIA-PET法の構築)と、2)それを適用した細胞周期、がん化等に伴う核内構造の遷移の可視化・ライブラリ化を行うべく研究を遂行した。高次構造解析に用い得る抗体の選定、クロマチン架橋の条件検討などを繰り返し実施し、結果として、ChIA-PET法を用いた染色体高次構造解析技術の構築について、情報解析まで含め3種の抗体を用いて実施することを可能とした。さらに、この方法を用いて、HeLa細胞およびRPE細胞の細胞周期での染色体高次構造の測定を開始した。ChIA-PET法では予想以上に細胞数が必要であり、経時的な実験には不向きであることから、より細胞数を必要としないHi-C法についても導入を開始した。これら一連の研究の中で染色体高次構造(染色体ループ)を形成する因子としてのコヒーシンについて、コヒーシンを構成するSAサブユニットの2種のパラログ(SA1とSA2)がゲノム上で異なる制御を受けて機能していることを見出している。この差は新規転写を阻害した場合に特に顕著であり、SA1は転写活性化にSA2は転写抑制に機能を有していることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ChIA-PET解析を確立するにあたり抗体の選択で試行錯誤を重ねる必要があった。最終的に、RNA PolIIおよび、ヒストンH3K27ac修飾、コヒーシンRAD21について解析を行い、ChIA-PET解析のための独自の情報基盤は整備した。Hi-Cについては遅れているが、ChIA-PETについては細胞周期依存的、転写依存的な染色体高次構造の可視化に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度前半でHi-C法も構築を終え、HeLa、RPE細胞を用いた、細胞周期、細胞がん化に伴う染色体構造の変遷を追跡する予定である。
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