研究課題
本研究では、核内の染色体構造を高解像度に描出すること、そしてその制御機構を明らかにすることを目指している。今年度は、次世代シークエンサーを用いて染色体高次構造を可視化する実験手法であるHi-C法の導入を行った。実験パラメータの最適化により、100 kb程度という非常に高い解像度で核内のDNA相互作用の様子を捉えることに成功した。これは世界の最先端の精度と並ぶものであると考えている。また取得したデータセットをコンピュータ上で解析するためのパイプラインの整備も終えることができた。確立した実験手技を用いて、これまでにヒト培養細胞の各細胞周期における核内高次構造データを取得した。また、染色体凝縮因子コンデンシンを欠くM期細胞での高次構造や、間期核において構造構築に重要な役割を果たす各種因子(コヒーシン、NIPBL、CTCF、ESCO等)を欠く間期細胞での高次構造データの取得も終えることができた。これらのデータと、昨年までに取得した各種因子の染色体上結合位置の高精度マップ(定量ChIP-seqにより取得されたもの)が揃ったことで、核内高次構造の制御機構の詳細理解を志向した系統的解析を今後遂行してゆくために不可欠なデータベースが整備された。各種染色体制御因子の変異により引き起こされる希少疾患患者由来の細胞についても同様の解析を行ったので、染色体高次構造と染色体機能の連携とその破綻のメカニズムについても解明を進める。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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