研究課題/領域番号 |
15H02373
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (00192500)
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研究分担者 |
佐藤 健人 東海大学, 医学部, 准教授 (50235363)
細道 一善 金沢大学, 医学系, 准教授 (50420948)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / クロマチン高次構造 / 疾患関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では子宮内膜由来細胞、組織、および子宮内膜症組織を用い、GWASヒットした遺伝子座について機能SNPを同定し高次クロマチン構造解析から転写調節ネットワークへの機能的関与を網羅する。子宮内膜症DNA検体800例および対照2,000例を有しており、必要に応じ遺伝子タイピングを行う。またすべての症例で詳細な臨床症状をファイル化できている。現時点で正所性子宮内膜組織は23例収集しており、アレル優位的遺伝子発現解析に供与する。子宮内膜症組織は腹膜、卵巣から21例得ている。連携研究者の新潟大学、日本医科大学の協力により検体は随時増やす予定である。子宮内膜由来癌細胞株は4種有している。機能SNPの同定に伴いヘテロ接合性を有する細胞をアレル優位的クロマチン相互作用解析に用いる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は子宮内膜症GWASで同定されたSNPから機能的なSNPを特定し、その分子機能変化について明らかにすることであった。9p21領域のGWASヒットからDNase hypersensitive領域に存在するSNP (rs17761446)をリストアップし、候補SNPとした。そしてchromatin conformation capture (3C)法によりANRILプロモーター領域とループ構造を形成すること、そして次世代シーケンサー解析によりアレルにより結合度が異なることを示すことができた。さらにはTCF7L2など転写因子結合もアレルにより差があることを示した。その成果をまとめることができPLoS Genet (2016)に報告した。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜症GWASではいくつかの領域でアソシエーションが検出されている。それらの遺伝子座について前年度と同様の解析を行い、機能SNP同定とアレル特異的な転写調節について検討する。さらには、4C法などを用い、複数の領域でのシスおよびトランスのクロマチン構造の相互作用について検討する。このような検討から子宮内膜症の遺伝要因の機能的関与の全貌が明らかになるであろう。
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