研究課題
光駆動ポンプとして機能する微生物型ロドプシンとしては、プロトン以外の陽イオンポンプは存在しないと長年、考えられてきたが、我々は2013年に海洋性細菌から光駆動ナトリウムポンプを発見した。本研究では、この新規ロドプシンのメカニズムを明らかにするための構造解析を行う。X線結晶構造解析を用いて立体構造を決定するとともに、我々が世界をリードする赤外差スペクトル分光法を用いて光反応中間体の構造解析を行い、なぜナトリウムイオンが一方向に輸送されるのか明らかにすることを目指している。我々は初年度に、東大・濡木研との共同研究により光駆動ナトリウムポンプの結晶構造を決定することに成功した。我々の研究室で行った機能解析の実験と組合せることで、ナトリウムイオンの輸送モデルを提唱することができ、Nature誌にArticleとして掲載された。今年度は赤外分光を用いた解析、具体的には低温法、時間分解法、全反射法を用いた解析を進めた。その結果、いずれも差スペクトルを得ることに成功しており、本研究課題の期間内に論文発表することが可能であると考えている。平成28年度には、ラマン散乱法を用いてダイナミクス解析を行った結果を論文発表することができた。また赤外分光法に関しては、我々が海洋細菌から発見した内向きのプロトンポンプのメカニズムを明らかにするため、低温赤外分光法を用いた解析を行い、プロトン輸送経路を解明することができた。さらに光駆動ナトリウムポンプを含むイオンポンプの機能転換に成功した結果、興味深いことに機能転換と進化との相関が明らかになった。具体的には、進化を遡る方向の機能転換は限られた変異で達成された一方、進化に沿った方向の機能転換は変異数を増やしても実現しなかったのである。
2: おおむね順調に進展している
計画は順調に進んでいる。
計画は順調に進んでおり、この方向での研究を進める。今後は赤外分光解析を駆使することで、機能発現メカニズムの解明に取り組む。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 5件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (106件) (うち国際学会 43件、 招待講演 8件)
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