研究課題/領域番号 |
15H02397
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
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研究分担者 |
平塚 拓也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90641639)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | FRET / 蛍光イメージング / ERK MAPキナーゼ / 細胞増殖 |
研究実績の概要 |
FRETバイオセンサーは蛍光タンパク質を改変したもので、タンパク質リン酸化酵素等の細胞内情報伝達分子の活性を生細胞で観察することを可能とする。このFRETバイオセンサーを用いて生体組織で分子活性を測定したとする研究は以前にも報告されている。しかし従来の技術ではFRETバイオセンサーの安定発現は困難であり、研究手法としては広がりを見せなかった。そこで申請者は培養細胞やマウスにFRETバイオセンサーを安定して発現させる技術を開発した。本技術により数日以上の分子活性モニターが初めて可能となった。しかしこの過程でこれまでの研究で組織生体イメージングの問題点も浮き彫りになってきた。本研究では、トランスジェニックマウスにおいて細胞を形態で容易に識別できるためのマーカーの開発、および分子活性を測定するFRETバイオセンサーを任意の細胞に発現させる技術の開発を行った。本年度は特にマーカー開発において進捗があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ERK活性をモニターできるFRETマウスの表皮基底細胞を多光子顕微鏡で観察し、ERK活性伝搬(SPREAD)を発見し、論文化した。さらに、このメカニズムを詳細に検討するためにマウス耳介の安定的観察法を可開発した。また、EGFR受容体阻害剤を始めとする様々な薬剤を投与し、SPREAD発生の有無を多光子顕微鏡で観察して、SPREADに関与する情報伝達系は上皮細胞増殖因子受容体が主たるものであることを見出した。さらに、これらの阻害剤を用いて、皮膚の変化を解析し、SPREADの生理的意義を明らかにした。本年度は、さらに、細胞形態を多光子顕微鏡下で観察するためのバイオセンサーNuCyMを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
NuCyMを用いた予備実験の結果、細胞膜のシグナルが三次元画像では核の画像と完全には分離せず、画像解析プログラムによる分離が思いのほか難しいということがわかった。また、1300 nmと800 nmの波長を交互にとるという当初の予定も、レーザに負担がかかり過ぎて難しいということが判明した。そこで、1040 nm以上の波長を使う実験と、以下の波長を使う実験の二種類に分けることとし、それぞれに対応した組織マーカを作成し、マウスに発現させる。SPREADの解析については、光あるいは化合物による狙った細胞の活性化を誘導する系を作成し、人為的に刺激伝搬を誘導できるかを検討する。
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