NuCyMを発現するトランスジェニックマウスとFRETバイオセンサー発現トランスジェニックマウスを交配し、NuCyMマーカーを指標として細胞後に分子活性を定量し、細胞間での分子活性の多様性について検討し、さらにデータの数を増やすとともに、質の高いデータの取得を行った。また、イメージングデータを補完する生化学データの取得を行った。Western blottingでself cleavage peptideが切れているかを、様々な臓器のWestern blottingを行うことで明らかにした。これらの成果をもとに論文を発表した。またNuCyMマウスの配布を進めるために、バッククロスを重ね、このマウスを基盤研に寄託する。 NuCyMを使ったイメージング研究をさらに展開させるために、ROCK活性を測定するFRETバイオセンサーを発現するトランスジェニックを作成した。このマウスの血管内皮に傷害を与え、血管が収縮する際のROCK活性の上昇を観察した。また、その分子機構を詳細に解析するためにカルシウムセンサーGCaMP6を発現するトランスジェニックマウスで同様の実験を行った。一方、さまざまな阻害剤を投与することにより、カルシウムやROCK活性がどのように変化するかも多光子顕微鏡を用いた生体イメージングにより解析した。その結果、血管収縮は局所のカルシウム依存性の収縮に引き続き、交感神経反射によるより広い領域の収縮が誘導されることがわかった。ROCKは局所の血管収縮には不可欠というわけではないかが、交感神経を介するより広い領域の血管収縮には必要であるということが明らかになった。
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