研究課題
新世界ザル6種(フサオマキザル、セマダラタマリン、アザレヨザル、チュウベイクモザル、マントホエザル、ダスキーティティ)各1個体ずつの高純度ゲノムDNAに対して、嗅覚受容体、苦味受容体、旨味・甘味受容体、色覚オプシンの全遺伝子及び中立対照領域を対象として、target captureと次世代シーケンシング(NGS)を行った。その際、orthologous gene groupを系統樹解析によって設定し、target captureで用いるプローブの設計を行うことで、プローブの無駄な重複や見落としを防いだ。ノドジロオマキザルとチュウベイクモザルの糞DNA集団試料に対して、一部の苦味受容体と嗅覚受容体を対象に、PCRとサンガーシーケンシングを行った。フサオマキザル、コモンマーモセット、アザレヨザル、チュウベイクモザル、マントホエザルの苦味受容体TAS2R1およびTAS2R4について機能解析を実施した。それぞれコルヒチンとショウノウに対しての反応に種間差が見いだされたため、関与するアミノ酸残基を進化解析的な手法を用いて解析中である。ヒトに関しては、パイロットスタディーとして、匿名日本人男性6個体の高純度ゲノムDNAに対して、上記遺伝子及び中立対照領域を対象として、6個体分のゲノムDNAをプールした場合としなかった場合のtarget captureとNGSを行った。ヒトを含む霊長類のL/Mオプシン遺伝子の解析については、現段階で公開されているゲノムNGSデータを解析するため、ヒト参照配列のLオプシンおよびMオプシン上にマップされたリードを抽出し、それらを再度オプシン遺伝子配列を参照配列としてマップし、変異を同定するスクリプトを作製した。これによりリード情報が公開されているゲノムデータを用いてL/Mオプシン遺伝子群塩基変異度を解析することが出来るようになった。
2: おおむね順調に進展している
target captureとNGSを新世界ザルとヒトの両方において開始した。新世界ザルについては糞DNAからのPCRとサンガーシーケンシングを進めている。フサオマキザル、コモンマーモセット、アザレヨザル、チュウベイクモザル、マントホエザルの苦味受容体TAS2R1およびTAS2R4について機能解析を実施した。L/Mオプシン遺伝子領域の塩基配列をヒトを含む霊長類の公開ゲノムデータから抽出するプログラムを作成した。
新世界ザルについては、NGSで得られた塩基配列リードを分類整理し、各遺伝子各種の塩基配列を決定する。それらを元に、偽遺伝子数と機能遺伝子数の種間比較、祖先配列推定、進化時間に対する選択圧の動態を解析する。糞DNAに対するtarget captureとNGSを検討する。ヒトについては集団サンプルの解析において複数個体のサンプルをプールしてtarget captureとNGSを行った場合と個別に行った場合を比較して、プールが有効であれば200個体程度に解析規模を広げる。L/Mオプシンの配列データ抽出プログラムを用いて、L/Mオプシン遺伝子群塩基変異度をさまざまな人類集団で比較していく。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 10件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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