研究課題
昨年度の夏に実施した子どものキャンプ実験のデータを使って、メラトニンを指標に用いて、夜の光による影響の受けやすさと概日リズム位相や睡眠習慣の関係を調べた。実験参加者は9~14歳の健康な子ども21名であった。実験はキャンプ初日と二日目に実施した。1日目は家庭の照明に近い条件下で(目の位置での鉛直面照度約200 lx)、夜間に1時間間隔で唾液を採取した。2日目は光の影響のないDimライト 条件(<30lx)で一日目と同様に唾液を採取した。唾液中のメラトニン濃度は放射免疫測定で分析した。概日リズム位相の指標として二日目のメラトニン分泌開始時刻(Dim Light Melatonin Onset;DLMO)を用いた。相関分析の結果、メラトニン抑制率とDLMOの間に有意な正の相関が認められ、メラトニンの抑制率が小さい人は概日リズム位相が朝型であった。この結果より、子どもでもメラトニンの光感受性には個人差があり、その個人差が概日リズムや睡眠と関連している可能性が示された。昨年度に実施した初経発来時期と小児期の睡眠習慣との関係性を明らかにするためのアンケート調査の分析を進めた。対象は関東地方に住む女子高生603名であった。平日の就寝時刻と初経発来時期については、小学生の時に就寝時刻が遅くなるにつれて、また、睡眠時間の短い児ほど、初経発来時期が早まる傾向にあった。夜更かしとの関係については、夜更かしを始めたのが、中学生や高校生と答えた児に比し、小学校中学年や高学年と答えた児ほど、初経発来が早かった。以上より、初経が始まる前の睡眠習慣が初経発来時期に影響を与える可能性が示唆された。今年度にも追加でアンケートを実施し、合計900名ほどのデータを使って分析を進めている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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