研究課題
Fusarium oxysporum病原菌は、宿主作物の根から侵入、導管内で蔓延し、萎凋・枯死を引き起こす。本菌と植物が対峙する導管には、菌が感染を成立させるための因子(エフェクター)を、また植物が菌の感染阻害因子をそれぞれ分泌していると予想される。本研究では、これまで解析されていない低分子タンパク質(30~99アミノ酸)も対象とした感染植物の導管液プロテオーム解析によって、病原菌の新奇エフェクター、植物の新奇抗菌タンパク質の同定を目指す。今年度は、主に以下の研究を実施した。これまでに、メロンつる割病菌接種メロンの導管液プロテオーム解析によって、417個のつる割菌タンパク質を同定し、エフェクター候補の遺伝子破壊によって6個の新奇な病原性関連遺伝子を同定した。今年度は、ベンサミアナタバコ葉へのアグロインフィルトレーション実験によって、これらタンパク質が壊死あるいは過敏感細胞死を引き起こさないこと、すなわち毒性またはエリシター活性を持たないことを明らかにした。先に、トマト萎凋病菌接種、非接種トマトの導管液のプロテオーム解析によって、1,025個のトマトタンパク質と233個の萎凋病菌タンパク質を同定した。今年度は、メロンつる割病菌のデータと比較し、12個の萎凋病菌特異的な新奇エフェクター候補を見出した。先に同定したシロイヌナズナの抗菌性低分子タンパク質に加え、トマト導管液タンパク質について、部分ペプチド(20アミノ酸程度)を合成、胞子発芽阻害活性を検定し、新奇な抗菌性タンパク質候補をさらに同定した。メロンつる割病菌接種メロンのRNA-Seq解析によって、感染時につる割病菌の糖新生やアミノ酸生合成遺伝子が高発現することを見出した。今年度は、導管液中の糖とアミノ酸を検出・定量し、導管液が貧栄養条件であること、本菌が導管内で定着・増殖するためには基礎代謝が重要であることを示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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植物の成長調節
巻: 53 ページ: -
Proc Natl Acad Sci USA
巻: 115 ページ: 5810-5815
doi.org/10.1073/pnas.1719491115