研究課題
食品因子の機能性発現には、その因子を分子認識し作用を伝達する食品因子感知機構(食品因子センシング)が重要な役割を果たしている。生体機能分子としてタンパク質に翻訳されないRNA(機能性RNA)が注目されているが、食品因子の機能性発現における関与は不明である。本研究課題では、食品因子により発現調節を受ける機能性RNAならびに機能性RNAにより調節される食品因子センシングを明らかにすることにより、「食品因子の生体内感知・機能性発現における機能性RNAの役割」を解明することを目的としている。本年度は食品因子としての植物ポリフェノールが発現を調節するマイクロRNAとその食品因子の機能性におけるそれらの役割について検討した。植物ポリフェノールの一種であるデルフィニジンが骨格筋において筋萎縮予防活性を示すとともに筋萎縮関連遺伝子MuRF1を標的とするmiR-23aの発現を誘導すること、また、miR-23aの転写因子であるNFATc3の発現を促進することを明らかにした。さらに、表現型ベースの遺伝子スクリーニンングの結果、デルフィニジンの機能性発現に関与すると推定される7種類の候補遺伝子を同定した。大豆イソフラボンによるポリアデニル化を受ける機能性RNAとして複数の核小体低分子RNAを見出すとともにその発現誘導作用に関与する酵素を同定することに成功した。食品因子としての外来性マイクロRNAの同定とその機能に関する検討項目について緑茶葉抽出物中に含まれるマイクロRNAを複数同定した。
2: おおむね順調に進展している
下記の通り、各検討項目において順調に成果を示したことから概ね順調に進展していると判断した。1)デルフィニジンの筋萎縮抑制作用機構に関与するマイクロRNAを明らかにした。2)デルフィニジンの機能性発現に関与すると推定される候補遺伝子を同定した。3)大豆イソフラボンのポリアデニル化機能性RNAの発現誘導作用に関与する酵素を同定することに成功した。
9年度は本年度の成果も踏まえ、下記の研究を推進する。デルフィニジンの機能性発現に関与すると推定された7種類の候補遺伝子の機能解析を行うとともにデルフィニジンのマイクロRNA発現調節作用との関係を検討する。大豆イソフラボンのポリアデニル化機能性RNAの発現誘導作用に関与する酵素の機能解析を行うとともにポリアデニル化機能性RNAの生理活性ならびに大豆イソフラボンの機能性との関係を検討する。緑茶葉抽出物中に含まれるマイクロRNAの機能性について検討する。緑茶カテキンを摂取させたマウス血漿中のマイクロRNAの機能性について検討する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 謝辞記載あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (49件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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