研究課題/領域番号 |
15H02459
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松山 倫也 九州大学, 農学研究院, 教授 (00183955)
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研究分担者 |
北野 載 九州大学, 農学研究院, 助教 (30635008)
坂口 圭史 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50396280)
長野 直樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50437943)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / TALEN / CRISPR/Cあs9 / マサバ / 受精卵 |
研究実績の概要 |
TALENやCRISPR/Cas9を利用した「ゲノム編集技術」は、近年開発された遺伝子改変の基盤技術である、本技術は、今後のアグリイノベーション分野における革新的な育種手法として期待されている。現在までに、魚類を対象とした研究は小型モデル種(メダカ、ゼブラフィッシュ)にみであったが、最近、養殖場の有用種までその対象が広がりつつある。本研究では、完全養殖系を有するマサバを材料として、ゲノム編集技術による遺伝子破壊(KO)を用いた海産魚における育種基盤技術を開発する。平成27年度は冬季における受精卵の生産法の開発ならびに適正なマサバ受精卵へのマイクロインジェクション法の開発を行った。平成28年度は以下の成果をあげた。 通常産卵期(4~5月)および冬季(2~3月)にマサバ受精卵を生産し、1細胞期の受精卵を用いて、前年度に開発した受精卵の取り扱い法ならびにマイクロインジェクション法の再現性に関する検証実験を行った。その結果、顕微注入を行わない対照区と比較して、生存率および孵化率がそれぞれ80%以上を示し、実用レベルでのマイクロインジェクション法は確立された。 GnRH1遺伝子を標的とした4種のCRISPR/Cas9による破壊試験を行い、変異導入率を評価した。その結果、破壊効率は16.4~66.6%であり、100%の破壊は達成できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長期(2月~6月)にわたるマサバ受精卵の生産法ならびに受精卵へのマイクロインジェクション法は確立されたが、4種設計したGnRH1遺伝子破壊のためのCRISPR/Cas9の破壊効率が16.4~66.6%と低く、100%破壊できなかったため、当初の計画よりやや遅れていると判定した。マイクロインジェクション用のインジェクターならびに実体顕微鏡が2式しかなかったため、実検効率が悪く、GnRH1遺伝子の破壊実験のみで、Myostatin 遺伝子およびReptin受容体遺伝子の破壊実験ができなかった。来年度はインジェクター・実体顕微鏡をさらに2式購入し、実検効率の強化を図る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
4,5月の通常産卵期に得られた受精卵を用いて、GnRH1およびReptin受容体遺伝子のCRISPR/Cas9による破壊実験を行い、両遺伝子ともに、100%変異導入を目指す。フィンクリッピング法により破壊が確認できた個体は親魚まで育成する。 GnRH1遺伝子破壊個体では、産卵期前の1~3月に、オスモティックポンプを用いたGnRH1の徐放投与(レスキュー実験)を行い、配偶子形成を誘導する。 親魚まで育成できた変異導入魚と野生型と交配させる。1日胚から得たPCR産物を直接シーケンスし、変異配列を確定することによりF0 ファウンダーを同定する。
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