1. クルマエビの抗菌タンパク質の一種であるクラスチンについて3タイプをクローン化し、構造解析と病原微生物に対する発現応答を調べた。クローン化した3タイプのクラスチンのうち、1タイプはエラで特異的に発現していることが明らかとなった。これら3タイプのクラスチンは恒常的に発現しており、病原微生物の感染により発現が誘導されるものではないことが分かった。
2. V. parahaemolyticus EMS/AHPND株の毒素タンパク質を餌に混ぜてクルマエビに投与した際に1-2%のクルマエビは死亡しないで生存し、1タイプのAnti LPS factor (ALF)の発現が優位に上昇していることが明らかにしてきたことから、この生残するクルマエビに通常の餌を投与し、改めてV. parahaemolyticus EMS/AHPND株の毒素タンパク質を餌に混ぜて投与したところ、エビは死亡した。これらの結果より、ALFの遺伝子発現量が多い時はV. parahaemolyticus EMS/AHPND株の毒素タンパク質に抵抗性示す機構がはらき、ALFの遺伝子発現量が多くないときはこの毒素により死亡することが示唆された。
3. クルマエビ類のゲノムに存在しているWSSV遺伝子のホモログは複数の染色体に散在していることがクルマエビとバナメイエビの染色体を調べて明らかとなった。複数種類の甲殻類ゲノム解析によりWSSV類似のウイルスは分子進化的な解析によりクルマエビ類が種分化する頃から存在していた可能性が示唆された。これらWSSV遺伝子のホモログ遺伝子は転写されていることもわかり、WSSV感染と関係があることが示唆された。
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