研究課題
カイコはW染色体が存在すれば雌化することが知られていたが、その分子実体は80年にわたり未解明であった。2014年、我々のグループはW染色体上の小分子RNA(Fem piRNA)がガイドとなり、Z染色体から発現される雄化遺伝子MascのmRNAを切断することがカイコの性決定最上位システムであることを解明した。さらにMascタンパク質が、雄化とともに遺伝子量補正を支配することも発見した。本研究では、Mascタンパク質が遺伝子量補正を実行するメカニズムを解明し、チョウ目昆虫における遺伝子量補正の全貌を明らかにしようとしている。今年度は、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集により作出したカイコMasc遺伝子のノックアウト系統の表現型の解析を進めた。また、piRNAの合成に関与するタンパク質をコードする遺伝子についても、作出されたノックアウト系統の表現型の解析を進めた。一方、我々は他研究機関との共同研究によって、Fem piRNA抵抗性Masc (Masc-R)を過剰発現するトランスジェニックカイコを作出している。この系統では雌が部分的に雄化するので、その機構を調査した。また、他大学との共同研究により、W染色体上でのFem遺伝子の位置をFISH法によって明らかにすることに成功した。カイコ以外の近縁の昆虫における性決定システムを解明し比較するため、雌Z0/雄ZZの性染色体構成を有するエリサン(Samia ricini)のMasc相同遺伝子の構造と機能についても解析するとともに、Z染色体の構造を明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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DNA Research
巻: in press ページ: in press
10.1093/dnares/dsx056
Proceedings of the Japan Academy, Series B, Physical and Biological Sciences(日本学士院欧文紀要), in press.
JATAFFジャーナル
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