研究課題
基盤研究(A)
子嚢菌Aspergillus nidulansをカビの生物モデルとして、様々なストレス下でも増殖可能な環境ストレス耐性とユニークな二次代謝の機構の分子機構を解明することを目指した。特に、一酸化窒素に対する耐性化に関わる遺伝子の単離とそれらによるストレス耐性機構の解明と、ヒストンのアセチル化修飾を介した二次代謝機構の制御の解明を課題として設定し、これらに関わる遺伝子を発見した。得られた知見は、カビの環境耐性と適応の解明の礎となり、カビの生育抑制技術の開発に貢献する。
微生物学
解明されたA. nidulansの一酸化窒素耐性機構の知見は、動植物の病原菌の一酸化窒素耐性の理解につながり、治療法や植物病害の防除法の開発に役立つと期待できる。A. nidulansの類縁菌には、産業上重要なものが多く、本研究成果はこれらのカビの生育の制御に役立つ。動植物のNO応答の重要性は広く認識されている。本研究によって解明された新たな一酸化窒素耐性機構は、真核生物に普遍的な生命活動の新たな原理の提案につながる意義を持つ。