研究課題
肝細胞では細胞質だけでなく核内にも脂肪滴が見られるが、その形成機序は不明であった。我々は核内脂肪滴が超低比重リポタンパク質の前駆体の1つであるアポリポタンパク質B100 (ApoB)を含まないER内腔の脂肪滴(ApoB-free LD)に由来することを見出した。ApoB-free LDは小胞体内腔にあるmicrosomal triglyceride transfer proteinの活性に依存して形成されたあと、内核膜が核内に伸び出すことによって形成されるI型Nucleoplasmic reticulum (NR-I)の内腔に侵入し、最終的には内核膜を通過して核質内に移行することが分かった。この現象が生じるためにはNR-Iがpremyelocytic leukemia proteinのII型アイソフォームに依存して伸長することが必須であった。また発達したNR-Iの先端部分、すなわちApoB-free LDを取り囲む部分の内核膜からはラミンが排除されており、膜の物理的強度が脆弱化しているためにLDの核質側への移行が起こると推測された。上記の機構により核質内に形成された脂肪滴は、核膜に分布するdiacylglycerol acyltransferase 2などで合成される中性脂質を取り込んでさらに成長することが分かった。これらの結果は肝細胞の核内脂肪滴が超低比重リポタンパク質産生と密接に連関して形成されることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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