研究課題
リンパ管内皮細胞特異的な低分子量G蛋白質Arf6コンディショナルノックアウトマウス(LEC-Arf6 cKOマウス)を作製してB16メラノーマがん細胞をマウスに移植し、腫瘍リンパ管新生と腫瘍増殖におけるArf6の関与を検討した。その結果、LEC-Arf6 cKOマウスにおいては、腫瘍リンパ管新生が阻害されて腫瘍増殖が遅延することが明らかになった。この知見は、リンパ管内皮細胞のArf6をターゲットとした抗がん剤が開発できることを示唆している。また、腫瘍リンパ管新生はがん細胞の転移に必要な現象であることから、リンパ管内皮細胞に発現しているArf6の活性化を阻害すれば、がん細胞の転移も抑制できる可能性が考えられる。平成28年度に、腫瘍血管新生とがん細胞の浸潤・転移を制御するArf6のin vitroでのguanine nucleotide exchange factorによる活性化を特異的に阻害するペプチドを同定した。平成29年度は、このペプチドが結合するArf6のドメインを決定するため、非標識の本ペプチドと15N2H13C標識したArf6を用いてNMR法にて解析した。その結果、Arf6疎水残基に由来する一部のアミノ酸の化学シフトにおいて、ペプチドの濃度依存的にシグナルの消失・移動が観察された。この結果から、本ペプチドは疎水結合を介してArf6と結合していると推察される。現在、Arf6の本ペプチドとの結合ドメインを決定するためにアミノ酸残基の帰属を解析している。また、ペプチドの末端に9個のアルギニン残機を付加した細胞膜透過性ペプチドを作製中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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