研究課題
ヘムは酸素運搬や酸化還元反応に必須の補欠分子である。ヘムはタンパク質に安定に結合することでこれら機能を担うが、研究代表者らは、ヘムがリガンドとして転写因子Bach1およびBach2に結合し、遺伝子発現を調節するという、ヘムのシグナル分子としての機能(ヘムシグナル)を提唱してきた。Bach1ノックアウトマウスの解析から、Bach1は鉄欠乏時の赤血球分化、マクロファージ分化、そして獲得免疫系細胞分化に重要であることを示して来た。一方、Bach2はマクロファージ分化および活性化に関わることを見いだしてきたが、さらに赤芽球分化に関わる可能性も十分に考えられる。そこで、ヘムにより制御される遺伝子ネットワークの全貌を解明し、赤血球とマクロファージの間で比較・俯瞰することで、ヘムの遺伝子発現調節因子としての作用機構と生理・病理的意義を理解する。そして、「ヘムシグナル」という概念を確立する。本年度は、野生型およびBach2/Bach1二重欠損マウスの造血幹細胞および前駆細胞の詳細な解析を実施し、これら転写因子が前駆細胞において骨髄球系特異的遺伝子およびそれらの上流転写因子CEBPファミリーの発現を抑制することでリンパ球への分化を促進することを明らかにした。さらに、赤芽球への分化においても、同様にBach2やBach1による骨髄球系遺伝子の抑制が運命決定に重要であることを見いだした。国際共同研究としてヘム代謝関連遺伝子の発現におけるBach1の重要性を報告した。また、Bリンパ球およびTリンパ球におけるBach2とBach1の機能について、総説論文をNature Review Immunology誌に国際共著として発表した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 4件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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