研究課題/領域番号 |
15H02522
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津田 誠 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40373394)
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研究分担者 |
齊藤 秀俊 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90444794)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / ミクログリア / 脊髄後角 |
研究実績の概要 |
神経障害性疼痛はモルヒネも著効しない慢性疼痛で,その慢性化機序は依然不明で特効薬もない。代表者は,同疼痛モデル動物を用いて脊髄ミクログリアが痛みの発症に重要であることを示してきた。現在,脊髄でのミクログリアは疼痛発症期に相関した即時的な活性化を示すと理解されている。本研究では,疼痛の慢性期から活性化し始める新しいタイプのミクログリア細胞群(CD11c陽性)の神経障害性疼痛における役割を解明するため,H27年度は以下の項目を検討した。 項目1ミクログリアがCD11c陽性となる活性化メカニズムの解明 <1> CD11c陽性ミクログリア出現に関与する損傷神経の特定:神経障害性疼痛モデルにおけるCD11c陽性ミクログリアの出現は脊髄後角の表層からやや深層(第III層)にかけて主に観察された。TRPV1陽性神経を破壊したマウスでは,神経損傷後の同細胞の出現に変化は認められなかった。 <2> CD11c陽性となるミクログリアの由来細胞の特定:放射線照射後にCD11c-Venusマウスの骨髄細胞を移植した骨髄キメラマウスを作成し,神経損傷後のVenus陽性細胞を免疫染色やフローサイトメーターにて解析した。その結果,神経損傷により常在性ミクログリアの活性化は認められたが,Venus陽性細胞数に変化はなかった。また,クロドロネート処置マウスでも検討したが,結果は同様であった。したがって,神経損傷後に脊髄で出現するCD11c陽性細胞は常在性ミクログリア由来である可能性が示唆された。 項目2 CD11c陽性ミクログリア遺伝子プロファイルと獲得細胞機能の特定:CD11c陽性ミクログリアが発現する遺伝子群を特定するため,脊髄CD11c陽性細胞をセルソーターにより分取し,マイクロアレイにて網羅的に解析し,同細胞で特徴的な分子群をリストアップした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の実施項目として計画した内容をほぼすべて遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に計画している各項目に従って順次予定通り進めていき,分子から細胞,個体レベルで包括的に研究を実施していく。
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