研究課題/領域番号 |
15H02558
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00243220)
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研究分担者 |
宮川 繁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (70544237)
仲村 輝也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90511626)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
松崎 典弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00419467)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 疾患得的iPS細胞 / 三次元組織化 |
研究実績の概要 |
1.疾患特異的iPS細胞の樹立:DCM患者からiPS細胞を樹立し、品質評価が終了した。これを用い、胚様体形成および心筋細胞への分化誘導を行い、心筋特異的タンパク質の発現を確認した。今後分化誘導効率の最適化を行い、三次元組織体を形成し薬剤応答を評価する。 2. 薬剤スクリーニング用心筋組織の作成:iPS細胞から分化誘導した心筋細胞を用いて、同調した拍動を示す三次元心筋組織を構築し、心臓繊維芽細胞、心臓血管内皮細胞を混合することにより、毛細血管構造をもつ組織体の作製に成功した。毛細血管構造の構築は、心臓繊維芽細胞の割合に依存することを認め、理由の一つとして繊維芽細胞から産生遊離される血管内皮細胞増殖因子が重要であることを見出した。 3.化合物の薬効・安全性解析システムの開発 :2で作成したiPS細胞由来心筋細胞による三次元組織体を用い、既知の薬剤に対する応答を、細胞障害活性、生存率、QT延長の指標としての細胞外電位・細胞内Ca2+トランジエントによって評価した。その結果、代謝阻害剤・Kチャンネル阻害剤・β刺激剤添加培養において、既報と同傾向の濃度依存的応答性が認められた。さらに、細胞動態画像解析システムにより、心筋細胞の拍動伝播を定量的に解析した結果、QT延長を示唆する応答が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、正常ヒト由来iPS細胞から分化誘導した心筋細胞を用いて、三次元組織の構築に成功し、心筋に対する作用機序の異なる複数の薬剤の応答を、異なるパラメーターを組み合わせて検出し、従来の細胞、組織からの応答との相関性が得られている。また、遺伝的背景を持つ患者由来の疾患特異的iPS細胞の樹立に成功し、今後詳細な特性解析を経て、上述の三次元組織化を行い、正常組織との生理活性や薬剤応答の比較検討を行う準備が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
三次元組織をさらに生体組織に近づけるため、機能しうる血管を内包した組織作成を行う。また、スクリーニングシステムとしての信頼性を高めるには、組織を安定に作成・維持することが重要であり、安定性を裏付けるパラメーターの検出、細胞間接着因子等の検討を行う。
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