研究課題
Nav1.7の遺伝子であるSCN9Aのミスセンス変異によるNav1.7の1塩基変異により、無痛症を発症した長野県の家系を発見した。この変異をもとに、H30年度の研究目標は、①本Nav1.7の変異によるチャネルの機能特性を最終的に解明し、②本Nav1.7変異を導入したマウスを作成し、その熱性および機械的侵害刺激に対する応答を検討し、このNav1.7変異をターゲットとした創薬研究が、疼痛のみをターゲットとした鎮痛薬の開発に有用であることを証明することであった。①に関しては、V-Iカーブの特性は野生型と大きな差がなかったものの、チャネル発現を補正した電流は、この変異Nav1.7で有意に低いことが最終的に証明できた。さらに、昨年来観察されてきた脱分極パルスを緩徐に加えて観察されるRamp電流が、変異Nav1.7で有意に低下していることが示された。しかしsteady state fast inactivationカーブには有意差がなかった。closed state inactivationにも有意差がなかった。他方、変異遺伝子をトランスフェクションした細胞全体に発現するNav1.7は野生型と差がなかったものの、ビオチン化して膜に発現したNav1.7は変異型で有意に低下していた。本変異をノックインしたマウスを用いて行動研究を行なったところ、熱性侵害刺激に対する逃避時間は軽度、変異マウスで延長していた。一方、von Freyフィラメントを用いた機械的侵害刺激に対しては、野生型に対して有意に逃避閾値が延長しており、ヒトにおける無痛症を反映していることが示唆された。体重増加や他の行動異常は観察できなかった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 6件)
Anesthesia & Analgesia
巻: 126 ページ: 763-768
10.1213/ANE.0000000000002749
Diabetes Technology and Therapeutics
巻: 20 ページ: 654-661
10.1089/dia.2018.0140
Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics
巻: 368 ページ: 50-58
10.1124/jpet.118.252767
Molecular Pain
巻: 14 ページ: 1-11
doi.org/10.1177/1744806918819942
J Cardiothorac Vasc Anesth
巻: 33 ページ: 1-8
10.1053/j.jvca.2018.12.004
J Anesth
巻: 32 ページ: 434-438
10.1007/s00540-018-2481-0.
Case Reports in Anesthesiology
巻: 3 ページ: 9593458
10.1155/2018/9593458
巻: 3 ページ: 6248467
10.1155/2018/6248467
JA Clin Rep
巻: 4 ページ: 43
10.1186/s40981-018-0180-3
Local Reg Anesth
巻: 11 ページ: 57-60
10.2147/LRA.S173877.