研究課題/領域番号 |
15H02573
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50195872)
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研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50304697)
熱田 生 九州大学, 大学病院, 講師 (30423487)
荻野 洋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (50380431)
松崎 達哉 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70736694)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯科補綴学 / インターフェース / 応力 / 力学応答 |
研究実績の概要 |
歯科においては、応力はオーバーロード、歯周病の増悪因子、歯の破折など不良な予後と関連づけて論じられることが多い。一方他の医科領域では、生活不活発病、サルコペニアなど、力の不足は廃用萎縮の原因となるといった論調で用いられることが多い。このディスクレパンシーを解明することを目的とした研究は多数あるが、明確に説明できた研究はない。そもそも応力=物理学的な刺激が、セルシグナル=化学的刺激に変換される仕組みもきちんと説明されていない。加えて、同じような力がかかっているように見える患者でも一方は大規模な骨吸収を来たし、他方は骨に変化がない、あるいは骨形成を来すという個体差を眼にすることがある。本研究は、物理的な刺激を化学的刺激に変換される仕組みを考究することで、歯科臨床における力学的な刺激の位置づけを定義することを目的としている。 培養骨細胞を用いた応力関知機構の検討として、細胞伸展培養装置上で骨細胞株を培養し、細胞に伸展刺激を作用させた際に、細胞内にCaイオンの流入が起こっているか、あるいは伸展刺激に対してリン酸化されることが知られているCasのリン酸化が起こっているかを確認した。その結果、細胞伸展は細胞内へのCaイオン流入を高めることが示唆された。Casのリン酸化については明確なデータは得られなかった。次に、動物を用いた骨内マイクロクラックと骨吸収の関連の検討を行った。その結果、ラット脛骨にインプラント埋入を行うと骨内にマイクロクラックが生じるものの、骨吸収とマイクロクラックの相関性についてははっきりしなかった。つぎに、骨細胞を適切なひずみ量を付与しながら培養し、骨細胞が発現する遺伝子をマイクロアレイ法で網羅的に解析し、骨細胞が応力に応じて骨形成または骨吸収を開始させるシグナルについて検討したが、ひずみの有無と遺伝子発現の間にはっきりした関連を見出すことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、小分子化合物ライブラリを用いた実験が着手できなかったため。また、応力によって発生した遺伝子発現の変化の制御について有意差のある結果が得られなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
29年度実施予定であった実験は30年度早期に実施し、しかる後速やかに30年度に予定している実験にかかることとして、十分な研究進展が可能である。遺伝子発現実験は、応力の作用方法(量や頻度)を調整して実験を再度行う。
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