研究課題
再生医療の進歩が著しいが、細胞から3次元的に複雑な構造を有する臓器を形成し、機能回復を図るまでに多くの障壁があり、臨床への実現には困難がある。本研究は唾液腺をモデルとして障害を受けた臓器の再生医療を行うことを目的としている。臓器再生に応用する情報として唾液腺形成時期に発現する遺伝子のスクリーニングを行った。マウス胎仔唾液腺上皮のcleft (分枝部) とbud (非分枝部)に特異的に発現する遺伝子をT7-SAGE (Serial Analysis of Gene Expression) 法で網羅的に探索した。細胞外マトリックス、増殖因子、転写因子を含めて特徴的な遺伝子を見いだし、以前に報告したFibronectinやBtbd7がcleftに強く発現していることを確認した。さらに、定量的リアルタイムRT-PCR法を用いて、それらの遺伝子発現を検証した。in situ hybridizationにてmRNAの発現分布、あるいは、既知の遺伝子であれば、既存する抗体で免疫染色を行い、胎仔唾液腺における発現分布を確認した。FibronectinやBtbd7はcleftに強く発現していることが明らかになった。T7-SAGEライブラリーの遺伝子群の中から、多数の候補遺伝子の発現と局在を解析してきたが、Lactoferrin受容体がbudに強く発現していることを確認した。さらに、Lactoferrinの添加により、胎仔唾液腺の分枝形態形成を誘導することを示し、Lactoferrinが成体唾液腺の放射線照射による障害を抑制することを明らかにした。ウェスタンブロット解析により、それらの作用はいずれも細胞周期を調節するCyclinDの活性化が重要であるを証明した。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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