研究課題/領域番号 |
15H02579
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70239490)
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研究分担者 |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10243247)
森崎 隆幸 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (30174410)
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60452447)
池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70273696)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90570292)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周病 / 侵襲性歯周炎 / 分子疫学 / 疾患関連遺伝子 / バイオインフォマティクス / 遺伝子改変マウス / Chemical screening |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ゲノムワイドアプローチを用いて歯周病の発症・進行に関わる候補遺伝子を抽出すること、さらに、同候補遺伝子の発現ならびに機能解析を解明することを目的としている。平成27年度の研究成果について以下に報告する。 当初の計画通り、本研究への参加に応諾された侵襲性歯周炎患者40名程度より採血を行い、ゲノムDNAを抽出後にエクソーム解析を行った。得られたデータを基に作成された侵襲性歯周炎患者のデータベースと、日本人リファレンスライブラリーデータベースを用いて、バイオインフォマティクス手法を駆使した統計学的解析を行い、GPR126を日本人侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子の一つとして抽出した。 一方で、大阪大学健康長寿研究に協力いただいている高齢長寿者の方々のデータベースの拡充を目的として、長寿者に対する口腔内検査ならびに一般採血等を実施した。 次に、in vitro細胞培養実験を用いて、上記バイオインフォマティクス解析により得られた疾患関連候補遺伝子GPR126の発現ならびに機能解析を行ったところ、歯根膜細胞の骨芽細胞分化に伴いGPR126の発現が上昇すること、さらにGPR126は歯根膜細胞の骨芽細胞分化を促進させることを見出した。 また、PLAP-1/asporin、cathepsin K等の歯周組織の恒常性維持に関与していることが報告されている遺伝子についてin vivo動物実験を用いた機能解析を行った。その結果、PLAP-1/asporinがTLR2/4と結合することによりTLR2/4による炎症反応を抑制すること、さらにPLAP-1/aspirinがFGF-2と結合することによりFGF-2の作用を増強させることを見出した。また、cathepsin Kが歯根膜細胞の骨芽細胞分化におけるコラーゲン繊維の蓄積に関与していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、研究への参加のインフォームドコンセントが得られた侵襲性歯周炎患者を対象とした、ゲノムワイドアプローチによる次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析を実施し、侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子の一つとしてGPR126を同定することができた。また、in vitro細胞培養実験を用いて、GPR126が歯根膜細胞の骨芽細胞分化を促進させることを見出すことができた。 さらに、PLAP-1/asporin、cathepsin K等の歯周組織の恒常維持に関与すると考えられている遺伝子の機能解析をin vivo動物実験を用いて遂行した。以上のことから、本研究は当初の計画通り概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度も、平成27年度と同様に、研究への参加のインフォームドコンセントが得られた侵襲性歯周炎患者を対象としたゲノムワイドアプローチを行い、同データベースの拡充に努める。また、正常コントロールデータベースを用いたバイオインフォマティクス解析を継続し、新たな侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子の抽出を目指す。 上記のゲノムワイドアプローチにより得られた侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子に対して、その発現ならびに機能解析をin vitro細胞培養実験とin vivo動物実験を用いて実施する。
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