研究課題/領域番号 |
15H02585
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
酒井 郁子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (10197767)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
松岡 千代 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (80321256)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 高齢者 / EBP / Implementation / 回復期 / 病棟 / 医療の質改善 / 看護師 |
研究実績の概要 |
全国の回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)に勤務する看護師および看護管理者1281名を対象に、根拠に基づいた実践(EBP)の実装(implementation)における促進要因、阻害要因、満足に関する質問紙調査を行った。 回復期リハ病棟でのEBP実装に向けて、キックオフミーティングを開催し、3施設6病棟の研究参加を決定した。参加病棟に勤務する看護師および看護管理者にはベースライン調査として、根拠に基づいた実践(EBP)の実装における促進要因、阻害要因、満足に関する質問紙調査を行った。 EBP実装で使用するウェブページの構成は「EBPの基本」「エビデンス一覧」「EBPの取り組み方」「EBPに取り組む時に使うツール」「本研究の説明」「ガイドライン」「文献検索」とした。エビデンスサマリーは、「せん妄予防2件」「排泄ケア1件」「服薬管理1件」「脳卒中患者の家族(介護者)へのケア2件」「脳卒中患者への学習支援1件」「身体拘束について3件」「転倒予防10件」「(リハ病棟における)多職種連携2件」を作成した。研究に参加する病棟へのヒアリングから、必要なケア項目についてのエビデンスサマリーを随時追加した。 6つの病棟にインターネットに接続したパソコンを設置し、ウェブページやその他の検索ができるよう環境調整を行った。看護師長や脳卒中リハビリテーション認定看護師らが中心となり、転棟予防やせん妄ケア、排泄ケア等に関してエビデンスサマリーに基づき、ケア改善を行った。 また、EBPガイドブックの翻訳は継続して行い、出版に向けて準備を行っている。なお、本研究の取り組みについて、2017 STTI 28th International Research Congress(The Convention Centre Dublin, Dublin, Irel)にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、①全国の回復期リハ病棟を対象として実態調査の実施、②EBP実装準備としてウェブページの開設、③研究参加施設合同のキックオフミーティング開催、④研究参加施設におけるEBP実装を計画していた。①は1149施設のうち、調査への合意の得られた130施設2863名の看護師および看護管理者へ質問紙調査を実施し、現在データを分析中である。 ②はコンテンツを決定し、エビデンスサマリーを作成した。エビデンスサマリーは介入病棟におけるケア改善の必要性に応じて、随時更新した。また、ウェブのアクセス数などについてデータ収集・分析をし、評価を実施できるよう解析準備を行っている。③および④は、介入病棟に(3施設6病棟)において、パソコン・プリンター、必要文献を設置等の環境調整を行い、EBP実装を開始した。開始後は、その過程や変化について詳細な記述を行い、本研究のデータをしており、研究者は病棟での調整と合意形成および実施に必要なアドバイスについて、メールや訪問による面接でコンサルテーションを行い、実施の支援を行っている。さらに、ガイドブック翻訳本の出版に向けた調整を行っており、概ね研究計画に基づき進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として、回復期リハ病棟6施設でEBP実装の実行支援を継続する。介入終了後は、介入後評価として、根拠に基づいた実践(EBP)の実装における促進要因、阻害要因、満足に関する質問紙調査を行い、EBP実装を推進したコアメンバーとスタッフ看護師それぞれへのグループインタビューを行う。また、ウェブページの活用状況について、解析ソフトを用いて分析し、介入病棟の全体評価および成果の統合を行う。さらに、EBP実装マニュアルを完成させ、ICTツールや人材データベースと合わせて高齢者ケアEBP支援システムとして公開する。 また最終年度に向けて、EBP実装モデルの普及のためのシンポジウムとワークショップの企画実施を行い、その場で得られた参加者の感想なども踏まえ、EBP実装モデルの洗練を行う
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