研究課題/領域番号 |
15H02586
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
長江 弘子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10265770)
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研究分担者 |
竹之内 沙弥香 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (00520016)
片山 陽子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (30403778)
田村 恵子 京都大学, 医学研究科, 教授 (30730197)
酒井 昌子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (60236982)
仁科 祐子 鳥取大学, 医学部, 講師 (70362879)
乗越 千枝 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (70389500)
足立 智孝 亀田医療大学, 看護学部, 教授 (70458636)
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
谷垣 靜子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80263143)
宮下 光令 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90301142)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 意思表明支援 / アドバンスケアプランニング / 地域高齢者 / 慢性疾患 |
研究実績の概要 |
【本年度の研究目的】地域におけるACP(意思表明支援)をガイドする介入プログラムを作成するために本年度はその第1段階として①地域で暮らす高齢者及び慢性疾患を有する高齢者に対する意思決定支援に関する現状と課題を整理すること並びに②その結果を活用した介入プログラムの要件を整理することを目的とする。 【方法】目的に対応して方法を述べる。①看護師が行う意思決定支援の特徴を疾患別(認知症、神経難病、腎不全、COPD、心不全、高齢者のがん)の病状の軌跡に応じた意思決定支援の内容について文献レビューを行い分類する。分析軸は、各疾患の病状分類に依拠し、時間軸と意思決定支援内容を治療支援から生活支援の内容の軸にクロスプロットすることとした。②①の結果をもとに、慢性疾患を有する高齢者への介入プログラムの実施に向けた対象者の特定、サンプリングについて検討する。また介入プログラムに必要な要素、アウトカム指標について検討する。 【結果】看護師の意思決定支援の特徴は、支援の時期は治療の選択、終末期に集中していた。意思決定支援の内容は、治療や処置など治療に関する選択を支援し、なおかつ、治療を受け入れることを促す支援であった。病状時期が軽度の時は本人と、病状中期は本人と医療者間、重度になると不確かな本人・家族と医療者間と徐々に複雑になる。特に認知症では生活支援を基盤にしながら判断能力を失うことを前提に生活の仕方の好みを引き出して終末期ケアに生かしていた。 【結論】本人が直面する医療的課題と生活課題について、病状経過に合わせて状況を理解した上で提示された選択肢を理解し熟考し選んでいくことを支えることを含めて意思決定支援とする必要がある。「どう生きたいか」を引き出す支援の対象群は健康な時期が適切であり侵襲的にならないためには「いつかは来る死」について考える人として考えを表現する機会や場を提供する講座が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の独自性である「市民と専門職の協働」「地域におけるACP」というキーワードは対象群を明確にすることが重要である。しかし、この対象群は幅が広く、どのように特定しサンプリングするかを決定できずにいた。本年度の検討でエンドオブライフケアの定義である「年齢や健康状態にかかわらずいつかは来る死について考える人」を対象とし一定の地域での介入とすることと決定したことは今後の介入プログラムをどう作るかについて具体性が高まった。今後の研究推進が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本格的に介入プログラムを作成する。その際、未だ進捗状況にある意思表明に関するReadinessや地域におけるACPの概念の再定義を行い、介入プログラムの理論的根拠としていく必要がある。さらにアウトカム指標について明確にしていく。エンドオブライフケアの概念に基づく意思表明支援の目的が明らかになれば、日本型としての意思表明の形やなぜそれをする必要があるのかについての説明力が増しわが国でのACP推進の一躍を担うことが期待できると思われる。
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