研究課題/領域番号 |
15H02597
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
王 道洪 岐阜大学, 工学部, 教授 (20273120)
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研究分担者 |
高木 伸之 岐阜大学, 工学部, 教授 (80179415)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 最終雷撃過程 / 雷雲電界 / 上向きリーダ |
研究実績の概要 |
本研究で開発した落雷最終雷撃過程観測専用高速カメラシステム5号機(LAPOS5)を昨年の7月よりフロリダ大学のロケット誘雷実験場に設置し、落雷の最終雷撃過程の観測実験を開始した。昨年度の観測期間中、フロリダでは雷雲が極端に少なかったものの、8月16日までにロケット誘雷7例、自然落雷の10例の最終雷撃過程の観測に成功した。これらのデータを解析したところ、ロケット誘雷では、初めて後続雷撃の最終雷撃過程における上向きリーダの存在を確認した。この上向きリーダの伝搬速度を求めたところ、遅い時、10の6乗メートルパーセコンドとなっており、速い時、10の7乗メートルパーセコンドとなることを明らかにした。また、上向きリーダから求めた帰還雷撃の開始高度と従来方法で求めたものと一致することも確認した。自然落雷では、下向きリーダと上向き帰還雷撃の進展様相をより詳細に再現することができた。 落雷極性別の最終雷撃過程のパラメータを比較したところ、正極性落雷の雷撃距離が明らかに短いことを発見した。この結果より、負極性落雷に比べて、正極性落雷の事故の割合が高いことの一因を突き止めた。 雷雲電界の計測実験では、実験期間中、実験場所を通過する雷雲が殆どなく、用意した電極の一つを試しに打ち上げたが、有意義なデータが取れなかった。一方で、雷雲電界の極性を識別できる電極形状を割り出すため、さまざまな形状の電極を試作し、多くの実内放電実験を行った。その結果、最適な電極形状を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、観測場所で発生した雷雲の数が極端に少なかった。雷雲電界の計測実験を試みたが、有意義なデータが取れなかった。さらに本研究に協力してくれているフロリダ大学の研究者達の大型研究予算が打ち切られてしまって、雷雲電界計測の実験はフロリダでできなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度フロリダ大学のロケット誘雷実験場に設置した落雷最終雷撃過程観測専用高速カメラシステム5号機(LAPOS5)による最終雷撃過程の観測を継続するとともに、雷雲電界の計測実験をアメリカからの協力者が期待できるオクラホマ州で実施する。
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