研究課題/領域番号 |
15H02600
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 謙一 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (40237722)
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研究分担者 |
永井 史男 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10281106)
菊地 端夫 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (40515920)
籠谷 和弘 関東学院大学, 法学部, 教授 (70313351)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
小林 盾 成蹊大学, 文学部, 教授 (90407601)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フィリピン / インドネシア / 地方自治 / 地方分権 / 住民参加 / 住民サーヴェイ / 東南アジア |
研究実績の概要 |
平成28年度は、前年度に集中的に実施した調査地点や調査サンプルの選定方法および調査票の設計に関わる理論的検討の結果を受けて、調査票の作成作業を進めるとともに調査サンプル選定方法に関する世論調査会社との協議を行った。 まず、5月にインドネシアの研究者や地域社会学の専門家を招いて全体会議を開催し、調査票の設計方針およびサンプル数に関する協議を行うとともに、年度計画について検討した。その後、8月にはフィリピンにおいてプレテストを実施し、インドネシアでは地方自治体の首長や地域開発に携わるNGOスタッフ等へのインタビューを行って自治体と住民の関係の実態に関する情報を得て、調査票の改訂に反映させた。これらの現地調査結果をもとに、国内で各国担当班による検討会議を経て11月に再び全体会議を開催した。この会議では、調査票の共通質問項目の検討を中心に協議を行い、また翌年3月にインドネシアでの実施を予定している現地調査について打ち合わせを行った。 平成29年には、2月にフィリピン担当者による会議を実施して両国共通の質問項目に関する検討を進め、これを受けて、3月に実施するインドネシア調査で用いる調査票案を作成した。インドネシア調査では、東ジャワ州の自治体の中から都市的自治体と農村的自治体を選定し、各自治体で住民を対象にインタビューを行って調査票の改訂作業を進めた。 以上の作業と並行して、インドネシア、フィリピン両国の世論調査会社との間で実査に要する予算の交渉を行った。インドネシアについては、調査予算の見積額に関しておおむねの合意を得ることができたため、3月のインドネシア現地調査の際に調査地点の選定方法やサンプリング方法に関する協議を進めた。他方、フィリピンについては、世論調査会社の見積額が当初予定を上回ったため、大学を含む複数の調査機関との間で新たに交渉を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィリピンにおける本調査で実際のインタビュー調査を委託することを予定している世論調査会社との交渉過程で、先方から提示された見積価格が当初予定していたものより高額になることが判明したため、他の世論調査会社や大学を含む複数の調査機関との間で交渉を進める必要が発生した。このため、調査地点の選定やサンプリング方法についての協議を進めることができなかった。 また、フィリピンでは、平成28年に発足したデュテルテ新政権が実施している麻薬取締キャンペーンの影響で、現地調査を予定していた自治体での調査が困難になるなどの問題が発生し、調査票改訂のためのプレテストを十分に行うことができなかった。このため、フィリピンで使用する予定の調査票の改訂作業が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、28年度までに実施した予備調査の結果を踏まえて調査票の改訂作業をさらに進める。これに加えて、8月から10月までにインドネシア、フィリピン両国で住民調査および自治体首長を含む自治体関係者へのインタビューを複数回実施する。この調査は、特に住民参加に関する質問項目をより実態に即したものにするために重要である。この調査によって得られた知見をも反映させて、11月頃をめどに調査票を完成させる。 さらに、インドネシア、フィリピンそれぞれについて、社会調査法の方法論に基づいて調査地点の選定およびサンプリングの作業を進める。そのために、必要に応じて大規模な社会調査の経験が豊富な専門家およびインドネシア、フィリピン両国の地方自治の質的調査の経験を有する専門家を招いて研究会を実施する。 以上の作業と並行して、インドネシアについては実査を依頼する予定にしている同国の世論調査会社LSIとの間で具体的な実査方法に関して協議を続け、9月頃をめどに調査委託契約を締結する。その上で、平成30年1月中旬から実査を開始するが、これに当たっては、調査票の質問項目の意図を正確にインタビューに反映させることを可能にするために、事前にインタビュー調査を行う調査員に対するワークショップを現地で実施する予定である。2月中には実査結果のデータの納品を受け、データ・クリーニングを開始する。 フィリピンについては、実査を依頼することを予定していた世論調査機関からの見積額が当初予定よりも高額であったため、大学を含む複数の調査機関と交渉を進め、9月頃をめどに委託先機関を決定する。この交渉においては、必要に応じてサンプル数の調整等も実施し、予算的に実行可能な調査設計を行う。その上でインドネシアと同様に、調査地点および実査方法を確定させて、年内に調査委託契約を締結する予定である。実査は年度末の実施を予定している。
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