研究課題
本研究では、申請者らの先行研究によって検討されてきた地盤侵食メカニズムに及ぼす諸要因に関する知見を動員し、開発途上国内で実施可能でかつ先進的な現場調査技術を活用して、地盤の特性が同地区の地盤災害リスクに及ぼす影響を調べている。平成27年度は、主にAlmara地区の地盤陥没の調査を実施した。しかし、平成27年5月にネパール・ゴルカ地震が発生し、カトマンズ周辺では甚大な被害は発生した。また、本調査実施地区(ポカラ)でも高い震度が記録された。ポカラ地区では将来さらなる大地震が懸念されていることから、本調査チームは地震発生後にカトマンズ周辺と調査地周辺の被害調査を実施した。これにより、陥没発生エリアから流出する地下水の色が地震直後に濁ったことが確認され、陥没リスクの評価に重要な知見が得られた。陥没の調査は平成27年11月から12月にかけて実施した。対象地域において地盤調査と地下水調査、降雨モニタリングを実施するとともに、地盤の強度を把握するため表面波探査を多数実施した。これにより、陥没を引き起こす地下空洞の存在は、S波のコンターの緩やかな変化で表現される可能性が指摘され、今後の地下空洞探査に重要な知見が得られた。また、当初の計画ではLiDARを用いた地形判読を実施する予定であったが、現場での作業性や経済性の観点から、ドローンを用いて実施した。また、貫入試験実施用にミニラムを購入し、トレーニングを実施した。来年度から、陥没調査と液状化調査にミニラムを用いる予定である。
2: おおむね順調に進展している
5月にネパール地震が発生した。調査対象のポカラでは有意な地盤災害は発生しなかったが、カトマンズを含む陥没対象地の調査を実施し、有益な情報を得た。当初計画していた表面波探査は、11月から12月にかけて行われた調査においてのみ実施した。S波速度を用いた地下空洞の評価法について議論を重ね、次回の調査につながる結果が得られた。
平成27年度は、陥没発生地区において表面波探査による内部空洞の検討を重点的に実施した。平成28年度はミニラムサウンディングを導入して、内部空洞の分布を直接的に把握することを目的とする。また、ラムサウンディングは液状化対象地区でも実施し、当該地域の地盤構造を把握することを目的とする。さらに、地下水調査、降雨分析は継続的に進め、次年度の総合評価に資するデータを得る。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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