研究実績の概要 |
(1)RNA分析試料のサンプリング 7月にアメリカ,ワシントン州,アリゾナ州においてサンプリングを行い,Carabus, Calosoma, Cychrus, Scaphinotus, Sphaeroderus属のオサムシ亜科,Omus, Amblycheilaなどのハンミョウ亜科,Heterosilphaなどのヒラタシデムシ亜科を得た.11月末~12月初めにニュージーランド,北島においてサンプリングを行い,固有種のオサムシ亜科Maoripamborus fairburni,ハンミョウ亜科Neocicicindela tuberculataを得た.11月および3月に,南アフリカにおいて,ハンミョウ亜科,オサムシ亜科カタビロオサムシ亜族のサンプリングを行った.この他,海外の研究協力者・共同研究者から,分析に用いるRNA抽出用のサンプルを入手した. (2)RNAシーケンスによる分子系統解析 これまでに得られたサンプルのうち,今年度はオサムシ亜科14種,ハンミョウ亜科25種,ヒラタシデムシ亜科2種,合計41個体について,Illumina HiSeqによるpaired endライブラリーのシーケンスを行った.前年度にシーケンスしたデータもあわせて,Trinityによるアセンブル・contig作成と,Yang & Smithの方法にしたがって,アミノ酸配列に基づくオーソロガスな遺伝子の探索・配列マトリクスの作成を行い,最尤法による系統解析を試みた.その結果,それぞれの亜科について,枝の支持率が高い(ブートストラップ値100%)系統樹が得られた.オサムシ亜科,ヒラタシデムシ亜科については,少数の遺伝子を用いた分子系統解析で得られている系統関係とほぼ同じ結果が得られているが,ハンミョウ亜科については,その中の族,亜族の関係について,一部従来の知見とは異なる結果が得られている.これにはデー分析の手法的な問題も含まれている可能性があり,今後,解析方法を洗練させていく必要がある.
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