研究課題/領域番号 |
15H02644
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
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研究分担者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育協力研究センター, 准教授 (20377790)
CEDICOL Editha・C 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任教授 (60747129) [辞退]
PHENG Vutha 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任准教授 (70747120)
三屋 史朗 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (70432250)
槇原 大悟 名古屋大学, 農学国際教育協力研究センター, 准教授 (70452183)
仲田 麻奈 名古屋大学, 高等研究院(農), 特任助教 (70623958)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 可塑性 / 深根性 / 天水田 / 水管理 / 肥培管理 |
研究実績の概要 |
1)情報・データ収集及び整理(カンボジア) 農林水産省農業総局・農業技術研究所、王立農業大学、名古屋大学サテライトキャンパスが共同して、国内各地でこれまでに実施してきた、品種適応試験、肥培・水管理試験、総合防除を含む病害虫防除試験、有機農法を含む栽培技術試験、さらに農家圃場での収量・病害虫発生調査などのデータの整理・解析を進め、農業技術指導を通じた総合防除などの取り組みが、生産性の増加と経費節減を通じて農家所得の向上に貢献していること明らかにし、その結果を論文や学会発表として公表した。 2)耐旱性評価(フィリピン、カンボジア) フィリピンイネ研究所 (Philrice)ならびにカンボジア農業技術研究所の圃場において、それぞれが所有している品種・系統を対象として、天水田条件下で栽培し、生育期間中に発育パラメータ(草丈、分げつ数、葉面積、葉数)、乾物重、収量の測定により、生長反応を評価した。また、根系の発育(節根、側根の長さや発生密度、深度)を調べた。現在、それらのデータを解析中である。 さらに前者では、ラインソーススプリンクラー法によって、連続的土壌水分勾配に対する、地上部ならびに根系の反応を精査し、P7-3-1 (Biniding) が強い耐旱性を示し、これを親にし、P7-3-1 x Raeline 2 の交配によって品種育成を始めた。(2016年乾季) さらに農家圃場では、中部および北部ルソン地域(Mapangpang, Munoz; Natividad, Pangasinan; Ilagan, Isabela)において、IR64の準同質遺伝子系統(計9系統)の生育ならびに収量反応を評価するための試験を実施した。そのデータを現在解析中である。その結果を基に、遺伝子型 (G) x 環境 (E)の相互作用を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カンボジアにおいては、栽培現地試験を担当していた、Ty Channa氏が王立農業大学から急遽異動し、その実験を引き継ぐ研究者を見つけることができなかったため、中止せざるを得なくなった。その後の対策については現在検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
1)QTL解析用集団の形質評価 本研究チーム内で利用可能である、耐旱性が異なることが知られている親に由来した、QTL解析用集団を、Philriceと名古屋大学の圃場(天水田条件)において栽培し、地上部生育の変異がもっとも大きい集団を選び出し、遺伝子解析を行う。具体的には、NSIC Rc160 とKDML105組換え自植系統を育成中であり、F1集団を用いてQTL解析を行う。また、CT9993 とIR62266との交雑によって作出したDH 103 と212の染色体断片が4ならびに8番染色体に座乗するKDML105の染色体断片置換系統群を用いて、土壌水分変動ストレスに対する適応性に関わる根の可塑性を制御するQTLの解析を進める。 2)可塑性(側根発育、通気組織形成)に関わる準同質遺伝子系統群の作成 これまでの申請者らの研究で、可塑性(側根発育、通気組織形成)の大きいことが証明された、日本晴/カサラス 染色体断片置換系統群47番とPhilriceで育成されたNSICRC160(高収量水稲品種)から、準同質遺伝子系統群を作成したので、それらを用いて、可塑性(側根発育、通気組織形成)に関わるQTLの機能を、各地圃場で始めた検証実験を継続する。 3)これらの結果から、天水田条件下で地上部生長、収量を維持、または促進する反応を示す品種/系統の選抜をさらに進める。また、とくにフィリピンにおいては、ルソン島以外に、レイテ島やミンダナオ島へ対象地域を拡げることを検討する。そしてそれらの根系形質と地上部の生長反応との定量的関係を調べる。これらの結果を元に、次年度以降に取得する気象・土壌データ、ならびに栽培試験時の地上部・地下部諸形質を確定するとともに、試験実施時期(雨季、乾季)を決定する。
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