研究課題
アジア各国において、国際共同研究を推進して、胃十二指腸内視鏡検査を用いた疫学調査を実施し、1) ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の病原因子の解析、2) ヒトの疾患感受性因子の解明、3) ピロリ菌とヒトの相互作用と共進化の理解、を目的とする国際共同研究拠点の形成を目指す。胃癌に代表されるピロリ菌関連疾患の発症メカニズムを明らかにすることで、新規治療法の開発、胃癌発症率の減少、ピロリ菌とヒトの共進化の歴史・人類移動の解明など、世界の医学および予防医学の進歩、歴史、文化の発展に貢献することを目的とする事業を展開した。平成27年度には、4月にブータン西部のHaaで約200名に内視鏡検査を施行し、迅速ウレアーゼ試験を実施、ピロリ菌陽性者には、同日中に除菌薬を配布、さらに培養用の検体、DNA/RNA用の検体(All Protectにて保存)、病理組織用検体、血清の採取も行った。また、5月には、インドネシアのスラウェシ島のマナド、スマトラ島のバンダ・アチェ、8月にはインドネシアのティモール島のクパン、バリ島でも同様に内視鏡検査を施行した。さらに8月には、モンゴルの西部で世界でも最も胃癌発症率の高いウブス、さらにモンゴル北部ロシアとの国境に近いフクスブルでも、計300名に内視鏡検査を施行した。さらに8月には、タイ・ミャンマー国境域のラノンにも出かけ200名に内視鏡検査を施行した。さらに平成28年1月にはタイ・ミャンマー・ラオス国境の黄金の三角地帯で内視鏡検査を施行、3月には、スマトラ島の沖に浮かぶニアス島およびスマトラ島のトバ湖周辺の村でも内視鏡検査を施行した。すべての国で、ブータンの際と同様の検体採取、除菌薬の配布を行っており、国間の比較も可能な体制をとっている。現在、これらの検体からピロリ菌を培養、さらに生検組織のDNAから、ホスト側のDNAのみならず、MicrobiomeのDNAも抽出して、解析を開始している。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画以上に、2015年のみでも、ブータン、タイ・ミャンマー国境、タイ・ミャンマー・ラオス国境、モンゴル辺境域、インドネシアの多くの島々で内視鏡検査を総計1000名以上に施行することができた。さらに、マレーシア(ボルネオ島)を訪れて共同研究の同意を得、さらにネパール辺境域の研究者とも連絡を取り合っている。また、アジアからさらに拡大し、アフリカのナイジェリアの研究者、ヨーロッパのオーストリアの研究者とも新たに国際共同研究を開始することができた。また、主担当研究者の講座には、タイ、インドネシア、ネパール、ベトナム、モンゴルの国費留学大学院生に加えて、新たに平成28年4月にアフリカのコンゴ共和国から国費留学生が来日し、ますます国際共同研究の範囲が広まっている。
今年度は、昨年度に採取したブータン、タイ・ミャンマー国境、タイ・ミャンマー・ラオス国境、モンゴル辺境域、インドネシアの多くの島々のピロリ菌、さらにはホスト側因子、Microbiomeの解析を進めていく。さらに、新たに、モンゴル南部、東部、ネパール、バングラディシュ、マレーシアでの現地疫学調査も計画している。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (31件) (うち国際共著 16件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 11件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 12件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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