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2015 年度 実績報告書

ベトナムでのHIV感染者コホートを用いた治療・感染予防戦略研究

研究課題

研究課題/領域番号 15H02658
研究機関熊本大学

研究代表者

滝口 雅文  熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (00183450)

研究分担者 岡 慎一  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, エイズ治療・研究開発センター, センター長 (20194326)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード感染症 / HIV-1 / エイズ / ベトナムコホート
研究実績の概要

1. ハノイコホートでのデーター・検体採集:ハノイの国立熱帯病病院(National Hospital of Tropical Diseases: NHTD)での患者のリクルートと臨床データー、検体(血漿、末梢血リンパ球)を採取した。2015年4月以降の新規感染者とこれまでリクルートした患者の各種臨床検査等のデーターを集めた。今年度は、新規無治療群は約100名の感染者をリクルートできた。
2.治療コホート群の解析:治療中の患者で、安定期の患者は年1回のウイルス量測定を行っているが、この時点でウイルスが検出された症例に関しては、翌月にも採血を行い2回連続してウイルスが検出された患者の遺伝子解析を行い、薬剤耐性変異を明らかにした。
3.無治療コホートの解析:新規リクルート患者のHLAタイピングを行い、今までに解析した患者と新規にリクルートした患者を合わせて、患者のリクルート時のCD4T細胞数、血漿HIVウイルス量(pVL)と各HLAアリールの相関を解析し、CD4T細胞数とpVLに相関するHLAアリールの解析を行った。その結果、一部のHLAとこれらの臨床指標との相関が明らかになった。また各HLAの存在に関連するHIV-1の変異を明らかにし、 303個のHLAに相関した変異を明らかにした。 新規リクルート患者から採取した末梢血リンパ球を用いて、3つのHIV蛋白(Nef, Gag, Pol)領域に対する17-mer overlapping peptideを作製し、これに対するCD8+T細胞の反応性を、ELISPOTアッセイを用いて調べた。それぞれのペプチドに対して反応している患者としていない患者との間に、CD4T細胞数とpVLに相関がみられるかを解析し、HIV-1の増殖抑制に関与しているT細胞が認識するペプチドを数種類明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規感染者のリクルートを約100名増やすことができ、今までのリクルート患者と合わせて、約400名の無治療患者の臨床データおよびHLAが蓄積できた。 これらの解析から、一部のHLAに関してCD4数、pVLと相関がみられるものが同定できた。また約400名の無治療患者のHIV-1シークエンス解析とHLAの解析から、303個のHLAに相関した変異を明らかにし、特にPOl領域の変異は、血中ウイルス量と有意に正の相関関係が、CD4数は有意に負の相関関係が認められたことから、HIV-1 A/EではPOl領域の変異の蓄積に関与するCTLが病態の進行に影響を与えていることが考えられた。治療コホートでは、薬剤逃避変異と解析と薬剤の副作用の解析を進めた。

今後の研究の推進方策

コホート拠点であるハノイのNHTDでは、今年からすべての感染者に抗HIV薬の投与をすることを決めたため、無治療コホートの継続がかなり難しくなった。このため、この無治療コホートの継続観察を中止せざるをえなくなった。今後は新規感染者の初診時のみからの検体の採取、ウイルス量やCD4数の測定などの行い、cross sectionalな解析のみを無治療コホートに対しては行う事にした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A strong association of HLA-associated Pol and Gag mutations with clinical parameters in HIV-1 subtype A/E infection2016

    • 著者名/発表者名
      Tran GV, Chikata T, Carson JM, Murakoshi H, Nguyen DH, Tamura Y, Akahoshi T, Kuse N, Sakai K, Sakai S, Cobarrubias K, Oka S, Brumme ZL, Nguyen KV, Takiguchi M
    • 雑誌名

      AIDS

      巻: 30 ページ: 681-689

    • DOI

      10.1097/QAD.0000000000000969

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Different effects of NNRTI-resistance mutations on CTL recognition between HIV-1 subtype B and subtype A/E infections2015

    • 著者名/発表者名
      Kuse N, Rahman MA, Murakoshi H, Tran GV, Chikata T, Koyanagi M, Nguyen KV, Gatanaga N, Oka S, Takiguchi M
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 89 ページ: 7363-7372

    • DOI

      10.1128/JVI.00974-15

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Identification of HLA-associated polymorphisms in a cohort of HIV-1 subtype A/E infection2015

    • 著者名/発表者名
      Tran Van Giang, Takayuki Chikata, Yoshiko Tamura, Tomohiro Akahoshi, Hayato Murakoshi, Nozomi Kuse, Shinichi Oka, Keiko Sakai, Nguyen Van Kinh, Masafumi Takiguchi
    • 学会等名
      The 8th IAS Conference on HIV Pathogenesis, Treatment and Prevention (IAS 2015)
    • 発表場所
      Vancouver Convention Centre (Vancouver, BC, Canada)
    • 年月日
      2015-07-19 – 2015-07-22
    • 国際学会
  • [備考] 滝口プロジェクト研究室ホームページ

    • URL

      http://www.caids.kumamoto-u.ac.jp/data/takiguchi/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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