研究課題
1. ハノイコホートでのデータ・検体採集:ハノイの国立熱帯病病院(NHTD)での患者のリクルートと臨床データ、検体を採取した。今年度は、新たに無治療群は約100名の感染者をリクルートできた。2.治療コホート群の解析:治療中の患者は、半年ごとにAIDS関連疾患や治療薬の副作用等の臨床情報を収集し、血漿ウイルス量測定を行った。これらのデータを用いて、①長期治療によるウイルス学的抑制率および免疫学的効果(CD4数の回復)と、②生存率およびAIDS関連疾患発生率について解析した。①の解析では、1806名のうち225名が中央値50ヶ月の時点でウイルス学的治療失敗を経験した。ART12ヶ月目のウイルス学的抑制率は95.5%で、90%以上のウイルス学的抑制率を42ヶ月維持できていた。②の解析ではAIDS関連疾患の罹患率は11.4%、発生率は46.7/1000人年であった。3.無治療コホートの解析:新規リクルート患者のHLAタイピングを行い、今までに解析した患者と合わせて505名の患者に関して、CD4T細胞数、血漿HIVウイルス量(pVL)と各HLAアリールの相関解析を行った。その結果、ウイルス量と正の相関が4アリール、負の相関1アリールで見られ、CD4T細胞数との負の相関が3アリール、正の相関が3アリールで見られた。新規リクルート患者から採取した末梢血リンパ球を用いて、3つのHIV蛋白(Nef, Gag, Pol)領域に対する17-mer overlapping peptideを作製し、これに対するCD8T細胞の反応性を、ELISPOTアッセイを用いて調べた。それぞれのペプチドに対して反応している患者としていない患者との間での、CD4T細胞数とpVLに相関を解析し、HIV-1の増殖抑制に関与しているT細胞が認識するペプチドを数種類明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
新規感染者のリクルートを約100名増やすことができ、今までのリクルート患者と合わせて、約500名の無治療患者の臨床データおよびHLAが蓄積でき, 病気の進行に影響を与えるHLAを一部同定することができた。一方、17-mer overlapping peptideに対するT細胞の反応の解析を約300名の患者で解析できた。
ハノイコホートでの患者のリクルートを続け、解析患者数を増やす。HLAと病態の相関解析に関しては、平成29年度に一度データを解析して、成果として発表する予定である。さらに17-mer overlapping peptideに対するT細胞の反応の解析数を増やす予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
AIDS
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10.1097/QAD.0000000000000969
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http://www.caids.kumamoto-u.ac.jp/data/takiguchi/viral/gyouseki/bib02/ronbun2015-2016.htm