| 研究実績の概要 |
１. 無治療コホートの解析・検体採取：ハノイの国立熱帯病病院での患者のリクルートと臨床データ、検体を採取し、新たに無治療群約40名の感染者をリクルートできた。前年度明らかにしたエイズ病態進行促進に関与するHLA-A*29:01-B*07:05-C*15:05ハプロタイプのいずれかのHLAを持っているHIV-1感染者において、Pol272: Non I, Pol653: A, T, Pol657: R, Nef173：Iの変異を持っている感染者は、持っていない人よりclinical outcome (pVL およびCD4 count)が悪いことが明らかになった。これらの変異部位を含んだエピトープを認識し、A*29:01-B*07:05-C*15:05のいずれかのHLAに拘束するCTLエピトープの同定を行ったところ、HLA-C*15:05に拘束するSL9エピトープを同定できた。さらに、SL9特異的CTLがPol653での2つの変異（A, T）を認識できないことを明らかにした。これらのことから、SL9特異的CTLによるこの2つの変異の選択とその蓄積が病態進行に関わっていると考えられた。また、無治療患者359名の薬剤耐性変異の解析を行い、NNRTI耐性変異であるV106Iの変異が4.5%, Y181Cが1.1%の頻度で見られ、薬剤耐性変異の蓄積が見られた。
３．治療コホート群の解析：HIV治療患者コホートで、初回治療に失敗したLPVrを含む救済治療中の155名を対象にデータ解析を実施し、26名がウイルス学的失敗と診断され、26名中5名にプロテアーゼ阻害剤に対する薬剤耐性変異が検出された。また、HIV治療中の患者1,346名を対象にLPVrと生活習慣病の関連を精査し、LPVr内服と高脂血症の有症率が有意に関連していたが、LPVr内服と心血管系疾患の発症率に有意な関連は見られなかった。
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