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2016 年度 実績報告書

ランダムサンプリングに基づくオンライン意思決定

研究課題

研究課題/領域番号 15H02667
研究機関九州大学

研究代表者

瀧本 英二  九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50236395)

研究分担者 畑埜 晃平  九州大学, 附属図書館, 准教授 (60404026)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード計算学習理論 / オンラインアルゴリズム / 組合せ最適化 / 競合比解析 / メトリカルタスクシステム問題 / 時系列データ
研究実績の概要

主に以下の成果を得た.
1.メトリカルタスクシステム(MTS)問題は,各試行におけるアクションの成否の度合いを表すコストに加えて,アクションの変更に際して,変更の大きさに応じたコスト(移動コスト)が課されるような逐次的な意思決定過程をモデル化したもので,幅広い応用を持つ.これまで,組合せ集合を決定集合とし,移動コストが0か1の値のみを取るとする設定のもとでは,高性能・高効率のアルゴリズムは知られていなかった.本研究では,この問題が,決定集合上のある分布に従ってアクションを選ぶランダムサンプリングの問題に帰着できることを示し,さらに,k集合やグラフ上のパス集合など様々な組合せ集合が実際に効率よくサンプリング可能であることを示すことにより,これらの意思決定集合に対するMTS問題に対する高性能・高効率なアルゴリズムを初めて与えることに成功した.
2.時系列データの分類学習問題に対し,シェイプレットと呼ばれる短い時系列データをn個用意し,任意の時系列データ x に対し,それぞれのシェイプレットに最も類似する x の部分系列の類似度を並べたn次元ベクトルを x の特徴ベクトルとするという手法があるが,どのようなシェイプレット集合を選ぶべきかについては発見的な手法しかしられていない.本研究では,短い時系列データすべてからなる非可算無限個のシェイプレット集合を考えても過学習は起こらないことを示し,これらの無限次元の特徴ベクトルに基づく学習の枠組みを与えた.さらに,ランダムサンプリングによって選んだ n 個のシェイプレット集合を用いても,従来手法に匹敵する性能を持つ分類器が得られることを実験により示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

組合せ集合を決定集合とするMTS問題に対し,初めて高効率・高性能なアルゴリズムを与えることに成功した.また,組合せ集合に対するメモリ効率の良いデータ構造を新たに考案し,これを利用した組合せ最適化アルゴリズムが従来手法を凌駕する性能を示すなど,有望な成果がいくつか出ている.

今後の研究の推進方策

主に以下のテーマを軸に研究を行う.
1.MTS問題については,性能評価指標である競合比の下界を示すことにより,提案手法の最適性を示す.また,計算のボトルネックとなっているランダムサンプリングの部分を,通常の組合せ最適化問題に帰着することにより,さらなる効率化と適用範囲の拡張を目指す.
2.シェイプレットを用いた時系列データの分類学習については,カーネルトリックとブースティングを組み合わせることにより,無限次元の特徴空間上の学習問題を効率よく解くアルゴリズムの開発を行う.
3.順序制約つきの順列集合上の線形最適化問題など,NP困難な組合せ最適化問題に対し,決定ダイアグラムを用いたメモリ効率の良いデータ構造を用いたアルゴリズムを開発し,その優位性を示す.
さらに,分担者の畑埜が革新知能統合研究センター(AIP)のPIに選出されたことに伴い,AIPとの連携を図る.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Technion(イスラエル)

    • 国名
      イスラエル
    • 外国機関名
      Technion
  • [国際共同研究] CWI(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      CWI
  • [雑誌論文] Bandit Online Optimization Over the Permutahedron2016

    • 著者名/発表者名
      Nir Ailon, Kohei Hatano, Eiji Takimoto
    • 雑誌名

      Theoretical Computer Science

      巻: 650 ページ: 92-108

    • DOI

      10.1016/j.tcs.2016.07.033

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] An Online Policy Gradient Algorithm for Markov Decision Processes with Continuous States and Actions2016

    • 著者名/発表者名
      Yao Ma, Tingting Zhao, Kohei Hatano, Masashi Sugiyama
    • 雑誌名

      Neural Computation

      巻: 28(3) ページ: 563-593

    • DOI

      10.1162/NECO_a_00808

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Combinatorial Metrical Task System Problem Under the Uniform Metric2016

    • 著者名/発表者名
      Takumi Nakazono, Ken-ichiro Moridomi, Kohei Hatano, Eiji Takimoto
    • 雑誌名

      Proc. 27th International Conference on Algorithmic Learning Theory (ALT 2016), Lecture Notes in Artificial Intelligence

      巻: 9925 ページ: 1577-1586

    • DOI

      10.1007/978-3-319-46379-7_19

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 正規化マージンを用いたしきい値回路の性能評価2017

    • 著者名/発表者名
      坂口慶介, 内澤啓,瀧本英二
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会COMP-ELC学生シンポジウム
    • 発表場所
      名城大学(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2017-03-23
  • [学会発表] ノルム制約付き行列分解に基づいた行列補完問題に対する汎化誤差の導出2017

    • 著者名/発表者名
      森富賢一郎, 畑埜晃平, 瀧本英二
    • 学会等名
      電子情報通信学会IBISML研究会
    • 発表場所
      東京工業大学(東京都)
    • 年月日
      2017-03-06
  • [学会発表] FPLを用いた組合せ集合に対するオンライン予測2017

    • 著者名/発表者名
      森富賢一郎, 畑埜晃平, 瀧本英二
    • 学会等名
      冬のLAシンポジウム
    • 発表場所
      京都大学(京都府・京都市)
    • 年月日
      2017-02-02
  • [学会発表] Time Series Classification Based on Random Shapelets2016

    • 著者名/発表者名
      Daiki Suehiro, Kengo Kuwahara, Kohei Hatano, Eiji Takimoto
    • 学会等名
      Time Series Workshop in NIPS 2016
    • 発表場所
      バルセロナ(スペイン)
    • 年月日
      2016-12-09
    • 国際学会
  • [学会発表] 組合せ集合上のメトリカルタスクシステム問題2016

    • 著者名/発表者名
      中薗拓巳, 森富賢一郎, 畑埜晃平, 瀧本英二
    • 学会等名
      夏のLAシンポジウム
    • 発表場所
      かんぽの宿大和平群(奈良県・平群町)
    • 年月日
      2016-07-21
  • [学会発表] 正規化マージンを用いたしきい値回路の評価2016

    • 著者名/発表者名
      坂口慶介, 内澤啓, 瀧本英二
    • 学会等名
      夏のLAシンポジウム
    • 発表場所
      かんぽの宿大和平群(奈良県・平群町)
    • 年月日
      2016-07-19
  • [学会発表] 制約付きスケジューリング問題に対するπ-DDを用いた解法2016

    • 著者名/発表者名
      松本晃輔, 畑埜晃平, 瀧本英二
    • 学会等名
      夏のLAシンポジウム
    • 発表場所
      かんぽの宿大和平群(奈良県・平群町)
    • 年月日
      2016-07-19
  • [学会発表] 射影と分解に基づく敵対的バンディット予測2016

    • 著者名/発表者名
      永浦良平, 畑埜晃平, 瀧本英二
    • 学会等名
      夏のLAシンポジウム
    • 発表場所
      かんぽの宿大和平群(奈良県・平群町)
    • 年月日
      2016-07-19
  • [学会発表] k 集合に対する敵対的バンディット問題2016

    • 著者名/発表者名
      永浦良平, 畑埜晃平, 瀧本英二
    • 学会等名
      電子情報通信学会IBISML研究会
    • 発表場所
      沖縄科学技術大学院大学(沖縄県・恩納村)
    • 年月日
      2016-07-06
  • [図書] オンライン予測(機械学習プロフェッショナルシリーズ)2016

    • 著者名/発表者名
      畑埜晃平, 瀧本英二
    • 総ページ数
      176
    • 出版者
      講談社サイエンティフィク

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公開日: 2018-01-16  

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