研究実績の概要 |
省エネルギーのためのスパース最適制御理論の構築に関する研究について,本年度は特にインド工科大学ムンバイ校,ドイツ・パダボーン大学およびテキサス工科大学ダラス校との国際共同研究,また京都大学,広島大学,東京工業大学との国内共同研究が大きく推進した.これらの成果を含む研究成果は,当該分野を代表する国際学術雑誌 (IEEE Transactions on Automatic Control, IEEE Signal Processing Letters, Systems and Control Letters および EURASIP Journal on Advances in Signal Processing) および国際会議 (IEEE CDC, IEEE ICASSP, MTNS, ACC, etc) 等で発表された. スパース最適制御理論は線形系においては,本年度はその応用に特に力を入れた.特に,IoT (Internet of Things) や Cyber-Physical Systems (CPS) など,近年大きく注目されているシステムに対する基礎理論であるマルチエージェントシステムへのスパース最適制御理論の拡張に成功した.省エネルギーを考慮した分散最適化,および分散制御系の設計理論という新しい枠組みでの研究課題を発見し,現在もその理論的な枠組みの構築を推進中である. 制御信号のスパース性と制御信号の滑らかさは一般には相反する性質となり,それらを制御するためにはスパース性を導くL1ノルム項と滑らかさを導くL2ノルム項との和を正則化項に持つスパース最適制御の計算が必要となる.この計算に,近年注目されている CLOT (Combined L-One and Two) ノルムの概念を導入し,スパースかつ滑らかな制御の設計理論をテキサス工科大学ダラス校のVidyasagar教授との共同研究で得た.この成果は2017年度の国際会議IFAC World Congressで発表予定である.
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