研究課題/領域番号 |
15H02671
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
松浦 正明 帝京大学, 大学院公衆衛生学研究科, 教授 (40173794)
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研究分担者 |
江口 真透 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (10168776)
牛嶋 大 公益財団法人がん研究会, ゲノムセンター, 研究員 (60328565)
小森 理 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 特命講師 (60586379)
松井 茂之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80305854)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 統計学 / オミックスデータ / バイオマーカー / データ解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、今後の予測医学の実現を目指し、ゲノム、遺伝子発現などのオミックスデータに基づき、集団不均一性検出法の開発とそれを考慮した予測に関する統計学的方法の開発を行う。モデルデータとしては第1にシミュレーションデータを使用し、これまで開発した方法の検討と新規手法の開発も試みた。 具体的には、基礎研究1として「既に開発した集団の不均一性検出法の性能評価と高精度化」、基礎研究2として「不均一集団に対する部分集団の個数推定法の改良と高精度化」、そして基礎研究3として「一人の患者内に存在する個体内不均一性(混合タイプ)の同定法の確立」を目的としてきた。研究を開始した初期の検討において、上記3点の基礎研究は個別に研究を順番に行なうのではなく、これら3点を同時に考慮した新規方法を開発する必要性が判明し、これらを同時に検討できる新規方法を考案し、その基礎研究を進めた。特に、集団の不均一性を検討するための部分集団の抽出には信頼性の高いサンプルを選択することが重要であることが判明した。本年度に新規に考案した方法が有効となるデータの不均一性の構造に関して、基礎研究として考察する事が今後の課題となる。 もう一点、予測医学の応用例として、134名のアスベスト関連肺がん患者のマイクロRNAプロファイルデータの解析を行い、喫煙歴も考慮して、各患者において測定されたアスベスト負荷量と非常に強く関連するマイクロRNAを抽出したところ、独立データ63名中83.3%の高正答率でアスベスト関連肺がんを判定することができた。この結果などを日米がん会議(アメリカ)で報告した。集団の不均一性を検討するに当たり、本解析で貴重で有益な経験と知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予測医学の応用例として、アスベスト関連肺がんの解析を行い、マイクロRNAを用いてアスベスト関連肺がんを予測するためのマイクロRNAの抽出に成功し日米癌会議で報告した。また集団の不均一性検出法として新規の方法を考案し基礎研究を推進させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の開発内容をさらに進展させる。 特に、不均一集団のバイオマーカー候補の初期段階における最適選定基準の探索法に関して基礎研究を進める。 他の研究項目に関しては予定どおりに基礎研究を進める。
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