研究課題/領域番号 |
15H02674
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山際 伸一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10574725)
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研究分担者 |
河原 吉伸 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00514796)
和田 耕一 筑波大学, システム情報系, 教授 (30175145)
坂本 比呂志 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50315123)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ストリームデータ圧縮 / ロスレス圧縮 / 動的ヒストグラム / ハードウェア |
研究実績の概要 |
通信・映像・センサといった情報源が発するデータ量の爆発的な増加に伴い、それらが流れるデータ伝送路に超高周波での実装が要求され、困難を極める状況にある。一定のデータ塊を単位として圧縮・復号するブロッキング圧縮によるデータ量の削減は従来から行われているが、常に流れ出る高速データ源では処理が間に合わず破綻する。流れ出るデータを伝送路で直に圧縮できればよいがハードウェアで効果的に実装できる技術がない。そこで、本研究は伝送路に流れるデータの出現統計をリアルタイムに生成し、それを使って圧縮・復号するストリーム圧縮ハードウェア技術を開発する事を目的として、本研究を推進した。この技術は伝送路の物理的容量限界を超え、データの高濃度化を実現でき、毎秒ペタバイト級のデータ処理が可能な高信頼コンピューティングへの基盤技術を確立できる。 本年度は、大きなブレークスルーを得られた。申請時点での難題であった動的ヒストグラムのハードウェアでの管理機能に大きな進展があり、ストリームデータ圧縮を超高速にハードウェアで処理できる機構が完成できた。そこで、このハードウェアを使ってのアプリケーション作りに専念し、FPGAを使っての実装にチャレンジした。センサー、映像を使ったリアルタイム圧縮デモを開発し、組込み開発技術展、イノベーションジャパン、CEATEC JAPAN、といった日本国内での有名な展示会へ出展し、その技術の有効性をアピールした。 本技術は今年度、アカデミック、及び産業界から高い評価を得ることもできた。国際会議VLDB2015のワークショップにて、Best Paper Awardを受賞した。さらに、組込み開発技術展ET/IoT2015にて「特別賞」を受賞し、産業界でもその技術の重要性を示すことができた。本研究の成果が、常陽新聞をはじめとする報道各社にて取り上げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ストリームデータ圧縮を実現する動的ヒストグラム管理技術のハードウェア実装方法についてひらめき、これまでの何点であった、シンボル変換テーブルの一貫性制御方法の実現にブレークスルーがもたらされ、一気にハードウェア実装の方法が進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は本年度の躍進的な成果を元に、実用化フェースに入っているが、いまだ、圧縮率という点ではやり残したことが多い。当初研究計画のなかでは本年度はソフトウェアによるアルゴリズム検証を計画しており、まさにそのフェーズをじっくり研究することに注力し、以下のような計画を立てる。 (1)圧縮率制御のためのアルゴリズムの改善:圧縮率を情報エントロピーを制御するという観点から、ストリームデータ圧縮であっても圧縮がかかるような情報量の操作方法を探索する。 (2)圧縮LSIの開発および実用化:ストリームデータ圧縮技術のFPGAでの最初のプロトタイプ実装は現在のところできているため、その回路情報を元に、LSIを制作することを計画する。 (3)知的情報処理との連携による圧縮率の改善策の検討:知的情報処理を圧縮率の制御に加えることで例えば、圧縮率をリアルタイムにフィードバックし、例えば、変換テーブル内容を変更することで、動的に圧縮率の向上を変化させるようなアルゴリズムの開発を探求する。 (4)国内外の産業界、学術会へのアウトリーチ活動:本研究の技術は世界で最も高速な圧縮技術の一つとして産業界でも賞を獲得するなど、認められつつあり、この技術を世界に広めるために、アメリカでの展示会出展、および、国内の展示会への出展を計画している。
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備考 |
上記プレスリリースにより、常陽新聞、大学ジャーナル、等の報道機関により取り上げられた。
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