研究課題/領域番号 |
15H02692
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
JIANG Xiaohong 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00345654)
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研究分担者 |
福士 将 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (50345659)
高橋 修 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特任教授 (60381282)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MANET / Secrecy Capacity / Physical layer security |
研究実績の概要 |
1.典型的なアロハプロトコルを用いるMANETに対して,スループット容量を解析するための理論的フレームワークを開発し,実用的なバッファ制約を持つMANETのスループット容量の研究を行った.さらに,この容量の研究を拡張して,グループベースのスケジューリングを用いるセル分割されたMANETに適用し,伝送セキュリティを保証するためのオン-オフ伝送スキームの下で,その正確な秘密スループット容量を導出した. 2.攻撃に対処するための物理層のセキュリティを採用し,結託盗聴者が存在しない単純な状況と結託盗聴者が存在する複雑な状況の両者における無線通信の秘密機能停止確率を研究した.さらに,2ホップバッファ支援型リレーの無線ネットワークにおいて,遅延とセキュリティのトレードオフ問題を調査するために,セキュアな伝送確率とエンドツーエンドの遅延性能を研究した. 3.マルチホップの無線アドホックネットワークにおけるセキュアな経路選択問題を研究し,物理層のセキュリティとサービス品質(QoS)の両制約を考慮した,柔軟な経路選択アルゴリズムを提案した.また,この新たな経路選択アルゴリズムの下で,秘密機能停止確率と接続機能停止確率の解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
典型的なアロハプロトコル,実用的なバッファ制約,そして,伝送セキュリティを保証するためのオン-オフ伝送スキームの下で,MANETの容量の研究のための異なる理論的フレームワークを開発した.そして,結託盗聴者が存在しない単純な状況と結託盗聴者が存在する複雑な状況の両者における無線通信の秘密機能停止確率を研究し,2ホップバッファ支援型リレーの無線ネットワークにおける,遅延とセキュリティのトレードオフ問題を調査した.最後に,マルチホップの無線アドホックネットワークにおけるセキュアな経路選択問題を研究し,物理層のセキュリティとサービス品質(QoS)の両制約を考慮した,柔軟な経路選択アルゴリズムを提案した.本研究の成果は,4編のジャーナル論文誌と2編の国際会議論文として出版されている.
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今後の研究の推進方策 |
MANETsのSCを増加させるために,協調的ジャミング(ブラントジャミングなど),コーディング(線形ネットワークコーディングなど),異なるリレースキーム(日和見スキームなど)を用いたルーティングアルゴリズムの共同設計を行う.電力割当は重要なネットワーク設計問題であり,特に電力制約のあるMANETsに対しては,MANETのSCに大きく影響を及ぼすことが知られている.MANETのSC最適化問題に取り組むために,最初に,正確なユニキャスト/マルチキャストSCに対する理論フレームワークを拡張し,協調的ジャミング,コーディング,ルーティングの共同設計の下での,新たな理論フレームワークを開発する.この新たな理論フレームワークを用いて,総電力制約の下でのSC最適化問題を研究し,非線形プログラムベースの最適化フレームワークと繰り返し探索アルゴリズム(二分探索法など)を開発する.SCの増加/最適化に関する研究により,既存手法を越える大幅なSCの増加を生み,理想的にはMANETsのSCの上界に近づくことが可能な有望なネットワーク戦略を提案できるものと予想している.研究成果を学術論文として取りまとめ,トップレベルのジャーナル論文誌や国際会議で広める予定である.
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