研究課題/領域番号 |
15H02693
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
柴田 義孝 岩手県立大学, 研究・地域連携本部, 特任教授 (80129791)
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研究分担者 |
石田 智行 茨城大学, 工学部, 講師 (00719148)
内田 法彦 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (10610298)
湯瀬 裕昭 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (30240162)
白鳥 則郎 早稲田大学, 理工学術院(国際情報通信研究科・センター), 客員上級研究員(研究院客員教授) (60111316)
山田 茂樹 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (80332154)
高畑 一夫 明海大学, 歯学部, 非常勤講師 (60226909)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非常時通信 / 情報通信工学 / ネットワーク / 減災 |
研究実績の概要 |
1)携帯型移動中継ノードの設計および開発においては、タブレット端末に,Andoroid SDKを使用してDTNプロトコルを実装し、通信が途絶する場合は、スマートフォンが一時的にデータを蓄積し、通信可能エリアに到達した時に蓄積データを自動的にフォワード転送する機能を車載型移動中継ノードと同様の機能を開発し、実際に災害時を想定した実証実験により、携帯網の障害で利用できない状況でも安否情報やメッセージをアドホック的に中継できることを実証した。 2)車載用モバイル分散型災害情報共有サーバシステムの開発においては、DTN2の通信プロトコルSDKを導入して、移動型のローカルクラウドシステムを開発して、この上にこれまで開発した災害情報システムWIDISを自律分散させ、災害情報、避難情報、安否情報を収集し、これを移動してインターネットゲートウェイを通して、グローバルクラウドに統合して登録・閲覧できるモバイル分散型災害情報共有クラウドレットシステム(Mobile-Cloudlet)の開発を行い、複数の車に搭載し、車-車間および車-自治体間で送受信性能の評価実験を行い有効性を確認できた。 3)空中中継ノードの設計および開発においては、被災地上空から被災映像を撮影するため、複数の無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)を新たに導入し、高速無線LANを利用して近隣UAV間で自動的に相互接続をリンク構成するマルチホップ機能(自動相互リンク構成機能)をラズベリーパイを搭載して実装し、その性能および機能および機能評価を行った結果、複数UAVのメッシュネットワークにより、上空より地上に対する広範囲な通信エリアをカバーすることを可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)携帯型移動中継ノードの設計および開発においては、比較的実装を早く終了出来き、室内での予備実験も理論通りの性能を確認できたが、野外実証実験では複数の人員を集めて(2~10人)実験が困難であったことと、電波干渉の頻度が多く、測定回数が十分に確保出来なかった点が挙げられ、実験方法を改善する必要がある。 2)車載用モバイル分散型災害情報共有サーバシステムの開発においては、概ね順調に移動型クラウドレットを開発でき、また屋内実験でも、理論通りに性能および機能を確認できた。今後は災害を想定し、屋外での実証実験を検討する。 3)空中中継ノードの設計および開発では、当初予定の気球から、複数のUAVの導入してノード開発をした。まず地上での実験は予定通りの動作および性能を発揮したが、実際のUAVを空中での動作させてメッシュネットワークの実現は、半径50cmで安定した通信が出来たが、100m程度の距離では、通信帯域が1Mbps以下と小さく、その結果、映像をリアルタイムで転送することが出来なかった。今年度は、アンテナの利得の大きいものに代えて性能を改善することと規格の異なる無線による改善を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
1)携帯型移動中継ノードの設計および開発においては、実際の災害時の劣悪環境を想定し、より多くの被災者により通信を想定した実証実験を行い、最終的には、住民に使ってもらえるようなプログラムを最適化してシステムに仕上げる。 2)車載用モバイル分散型災害情報共有サーバシステムの開発においては、グローバルクラウドも実装し、モバイルクラウドとグローバルクラウドのスループットの最適化や同期制御、負荷分散機能を実現し実証実験して有効性を確認する。 3)空中中継ノードの設計および開発では、UAV搭載のラズベリーパイの性能を上げ、また複数の異種規格の無線によるコグニティブ無線を実現して通信性能を現在の2倍程度の改善する。
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