研究課題/領域番号 |
15H02697
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
水野 忠則 愛知工業大学, 情報科学部, 教授 (80252162)
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研究分担者 |
峰野 博史 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40359740)
梶 克彦 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (40466412)
内藤 克浩 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (80378314)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IoT / スパイクトラフィック / セルラーシステム / M2M |
研究実績の概要 |
本研究では、IoT機器導入に伴うセルラー網への影響を評価することを目的としており、本年度はLTEの仕様書で規定されている制御プレーン(C-Plane)の中でも、特に多数のIoT機器が導入された場合に影響が大きいと思われる点の抽出を行なった。 本研究テーマの背景として、既存のセルラーネットワークに接続されるスマートフォンなどの機器は、一度の通信量が多いため、セルラーネットワークの通信リソースとしては、ユーザープレーン(U-Plane)を多量に利用するのみであり、通信制御に関するC-Planeの利用量は比較的小さい。一方、少量の通信を発生させると言われているIoT機器がセルラーネットワークに接続された場合、通信量が極めて少ないため、U-Planeの利用量は極めて少ないが、C-Planeの利用量は激減しないため、C-Planeのオーバーヘッドが極めて大きくなる。さらに、IoTのサービス形態として、多数の機器がセルラーネットワークに接続されることから、セルラーシステム内のC-Planeトラフィックの総量も増加することにより、大規模障害などを発生させる可能性がある。 本年度は、多数のIoT機器が基地局に接続される状況では、基地局へのアクセス権取得に関する手続きが衝突する可能性が高い点、および、アクセス権取得後に通信制御を維持するための通信リソースが大きなオーバーヘッドになる可能性が高い点が考えられることを明らかにした。そして、これらの2点の処理を、LTEシステムを評価可能なネットワークシミュレーター上に新たに実装することにより、懸念される2点は多数の機器が接続される環境において通信障害などの原因になり得ることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LTEシステムの仕様書の検証作業により、IoT機器がセルラーシステムに多数導入された場合には、基地局へのアクセス権取得に関する手続きが衝突する可能性が高い点、および、アクセス権取得後に通信制御を維持するための通信リソースが大きなオーバーヘッドになる可能性が高い点が懸念点として明らかにすることができた。また、これらの懸念点を評価するため、既存のネットワークシミュレーターを拡張することにより、基礎的な評価を実施済みである。そのため、本研究は、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果として、基地局へのアクセス権取得に関する手続き、および、アクセス権取得後に通信制御を維持するための通信リソースの評価が可能なネットワークシミュレータの実装を終えている。今後の予定としては、評価を行うために利用するIoTトラフィックモデルの検討を行うことにより、異なるサービスモデルから発生するIoTトラフィックが、セルラーシステムにどのような影響を与えるのか、明らかにする予定である。また、C-Planeの負荷を軽減する手法として、トラフィックオフローディングを活用した場合についても、効果を明らかにする予定である。
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