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2015 年度 実績報告書

バイリンガル音声合成を用いた英語における日本語アクセントの強度と発話理解度の検証

研究課題

研究課題/領域番号 15H02729
研究機関早稲田大学

研究代表者

近藤 眞理子  早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (00329054)

研究分担者 山岸 順一  国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70709352)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードバイリンガル音声合成 / 英語音声 / 日本語アクセント / 発話理解
研究実績の概要

2015年度は主に日英語バイリンガル音声合成のための(1)日本語話者の英語音声の分析と、(2)日英語バイリンガル話者の日本語および英語の音声発話収録を行った。昨今の大規模音声コーパスで、大勢の話者の自然発話に近い音声データの分析が可能となったので、音声コーパスを用い改めて日本語話者の英語発話の分析を行った。その結果、従来から指摘されている/l/-/r/, /b/-/v/, /s/-/th/などの子音の発音の間違いは必ずしも双方向に間違いが起きているのではなく、/l/の代わりに/r/, /v/の代わりに/b/と方向性があることが分かった。また、日本語訛の研究は子音の間違いについての研究が多いが、間違いの2/3は母音の音質と挿入であり、今後の日本語訛の研究の方向を見直す必要があることが分かった。
日本英語バイリンガル話者の音声収録は、当初日本語とイギリス英語のバイリンガル話者の音声を元に作成する予定であったが、収録に適する話者が見つからなかったため、日本語とアメリカ英語のバイリンガル話者の発話を元に作成した(「現在までの進捗状況」の欄参照)。この音声収録にあたり、数人の日米バイリンガル話者の発話を録音し、日本人とアメリカ人を被験者にネイティブ度の判定を行ったが、音声発話に関しては、両言語の完全なバイリンガルと判断された話者はいなかった。どの話者もどちらかの言語のほうが強く、日本語が完ぺきと判断された話者一名の英語はアメリカ人には非母語話者と判定された。また100%アメリカ人と判定された話者一名の日本語は非日本語母語話者と判定された。この結果は、追加実験をしたのち、学会で発表する予定である。母語話者の判定で、日英語とも分節音の発音は完璧だが、イントネーションやリズムなど韻律面で違和感があるという指摘が少なからずあった。この結果を踏まえ、バイリンガル音声の合成の修正を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日本語と英語のバイリンガル音声のネイティブ度の判断を、研究協力者のいるイギリスで行うことになっているので、日本語とイギリス英語のバイリンガル話者を多方面にわたり探したが、声の質、話し方等で、条件に見合う話者を日本で見つけることができなかった。結局、日本語とアメリカ英語のバイリンガル話者で条件に見合う話者を見つけることができ、バイリンガル合成音を作成することができたが、条件に合う話者を探すために、オーディションを含めてかなりの時間を費やしたため、合成音作成まで、予定よりも時間がかかってしまった。

今後の研究の推進方策

2016年度は15年度に作成したバイリンガル合成音をつかった知覚実験を、日本とイギリスで行う予定である。進捗状況の欄で述べたように、日英ではなく日米バイリンガル話者の音声を元に合成音を作成せざるを得なかったが、これがイギリス人を対象としたネイティブ度判定の知覚実験の結果に影響を与える可能性がないとは言えない。そのため、(1) 新たに日本語とイギリス英語のバイリンガル話者の録音されている音声を元に、小規模のバイリンガル合成音を作成し、イギリスでの知覚実験時に含め、アメリカ英語の結果と比較する。また(2)日米バイリンガル合成音をつかったネイティブ度判定の知覚実験をアメリカでも行い、イギリスでの結果と比較する。(1)と(2)を行うことで、(a) イギリスとアメリカでネイティブ度判断の結果が同じであれば、方言の差を気にせずに今後の研究が進められることとなり、また(b)もし英米の結果に違いが生じた場合は、母語であっても方言により、ネイティブ度の判断が異なるという結果となり、それは新たな発見となる。もともとは日英バイリンガル音声合成を望んでいたが、日本人はアメリカ英語のほうがイギリス英語よりも圧倒的に慣れている場合が多いので、一般的な日本人を対象とした英語のネイティブ度を判定する知覚実験の場合、日米語のバイリンガル合成音のほうが、適していると推測される。従って、当初の予定を若干変更し、アメリカ人を被験者とする知覚実験を2016年度中に行う方向で計画を立てている。
合わせて、日本語話者を対象としたスペイン語訛の英語の知覚実験と、スペイン語話者を対象とした日本語訛の英語の知覚実験も、進めていく予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] University of the Basque Country/Department of English Philology(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      University of the Basque Country/Department of English Philology
  • [雑誌論文] A Study of the Production of Unstressd Vowels by Japanese Speakers of English Using the J-AESOP Corpus2015

    • 著者名/発表者名
      Kakeru Yazawa, Yumi Ozaki, Gregory Short, Mariko Kondo, Yoshinori Sagisaka
    • 雑誌名

      Proc.of the Joint conference of 2015 International Conference on Speech Database and Assessments and Conference on Asian spoken Language Research and Evaluation

      巻: 1 ページ: 96-100

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Developmental Change in English Stress Manifestation by Japanese Speakers2015

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Konishi, Mariko Kondo
    • 雑誌名

      Proc. of the 18th International Congress of Phonetic Science, Glasgow

      巻: 1 ページ: No.1029

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 日本人学生と留学生が混在する教育現場-日本人学生と留学生が「英語で学ぶ空間」2015

    • 著者名/発表者名
      近藤眞理子
    • 雑誌名

      言語文化教育学会第15回記念大会予稿集

      巻: 1 ページ: 12-15

  • [学会発表] 日本人学生と留学生が混在する教育現場-日本人学生と留学生が「英語で学ぶ空間」2015

    • 著者名/発表者名
      近藤眞理子
    • 学会等名
      言語文化教育学会第15回記念大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2015-11-21 – 2015-11-22
    • 招待講演
  • [学会発表] A Study of the Production of Unstressd Vowels by Japanese Speakers of English Using the J-AESOP Corpus2015

    • 著者名/発表者名
      Kakeru Yazawa, Yumi Ozaki, Gregory Short, Mariko Kondo, Yoshinori Sagisaka
    • 学会等名
      2015 Oriental COCOSDA/CASLRE
    • 発表場所
      中国 上海
    • 年月日
      2015-10-28 – 2015-10-30
    • 国際学会
  • [学会発表] Developmental Change in English Stress Manifestation by Japanese Speakers2015

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Konishi, Mariko Kondo
    • 学会等名
      The 18th International Congress of Phonetic Sciences
    • 発表場所
      Glasgow, UK
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-14
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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