研究課題
本年度は、これまでの第二言語音声習得とその評価の研究を踏まえ、deep-learning-based speech synthesisを使い、実際に外国語訛の強さの度合いを制御した多言語音声合成を使い、アメリカ英語訛の度合いを制御した日本語音声を合成したものを使って、知覚実験を行った。日本語と英語のバイリンガル話者一人が、双方の言語の訛のない日本語と英語を発話したものを使い、DBLSTM-baseの音響モデルを訓練した。このバイリンガル話者の録音音声を使い、分節音の長さやピッチ曲線を測定し、それを基に自然な韻律の合成発話を生成し、自然音声と合成音声の特性を併せ持った音声を生成した。本実験では、日本語と英語の分節音で調音が明らかに異なるもの、つまり異音の音質が異なるもの、かつ、英語母語話者の日本語学習者の発話エラー分析から、発音の間違いが多いと報告されている子音を抽出し、日英バイリンガル一人の話者の発話音声をもとに、分節音を置き換えた。分節音は、ラ行の子音(J歯茎弾き音→E後部歯茎接近音)、「シ」の子音(J無声歯茎硬口蓋摩擦音→E後部歯茎摩擦音)、ザ行子音(J歯茎破擦音→E歯茎摩擦音)、「ジ」の子音(J有声歯茎硬口蓋破擦音→E硬口蓋歯茎破擦音)を用いた。合成音した日本語音声を、クラウドソースを使い131人の日本語話者が、分節音の正確さ(5段階のリッカート尺度)と英語訛の度合い(7段階のリッカート尺度)を判定した。日本語の発話の刺激音は77%が外国語訛がないと判断された。音素に関しては、/r/の音質が外国語訛の判断に与える影響が非常に大きく、接近音の度合いが23%を超えると「アメリカ人の発話」と判断される割合が圧倒的に高かった。つまり、日本語話者は、自分たちが英語の分節音の発音で苦手とされる音素の発音に気づいていて、音質の違いに敏感に反応していることが分かった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
Second Language Research
巻: 1 ページ: 1-25
10.1177/0267658319832645
Proceedings of IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing
巻: 1 ページ: 4011
Proceedings of 9th Tutorial and Research Workshop on Experimental Linguistics
巻: 1 ページ: 69-72
日本音響学会秋季研究発表会講演論文集
巻: 1 ページ: 795-796
第32回日本音声学会全国大会予稿集
巻: 1 ページ: 167-172
巻: 1 ページ: 173-178
巻: 1 ページ: 279-284