研究課題
嗅覚情報センシング利用により、遠隔的な危険物検知・捜査や対象物の加工・熟成・健康状態の判定、などが可能になる。このセンシングには、色覚のR/G-Y/B基本色に対応する基本匂いの解明と、匂い情報符号化法および嗅覚センサ開発が不可欠である。本課題では、最初の基本匂いの解明を目指し、マウス行動実験で匂いの検知・識別に寄与する受容体の特徴を解析し、共通・相違要素匂いの寄与度および背側受容体の寄与を検討する。さらに、多種細胞センサ応答同時計測用のマクロ蛍光測定系の整備、細胞センサの改良などを目指す。1)マウス行動実験による基本匂い要素の解析:試作Y迷路を用いてヒト膀胱がん摘除前後の尿臭の要素匂い強度を識別閾値として評価した結果、同条件の混合尿試料中の要素匂いは、個人特有体臭+食事由来の匂い<膀胱癌の臭い<潜血の臭い<抗生剤代謝産物の匂いの順に強くなることを見出した。この結果に基づき、個人特有体臭+食事由来の匂いを検知できない100万倍以上の希釈率でかつ、潜血の臭いを同じにした等潜血条件の希釈尿試料で、複数患者混合尿でトレーニングしたスニファー(匂い嗅ぎ)マウスは、11名の患者個人の腫瘍摘除前の尿臭も識別できることが分かり、論文発表した。また、前立腺癌の尿臭の識別の可否についてもデータ収集を行った。また、開発したwavelet相関解析法を脳波から一過性情報を読み出す特許に関する英文総説をまとめ、受理され、6月掲載予定となっている。2)特定臭検知ヒト受容体群の応答データ:出願済み特許「匂いの評価方法」に記載された要素匂い形成を支配するヒト受容体の内の22種の発現ベクターを構築し、166種が揃った。非嗅覚GPCR198種のhelix 8の2番目アミノ酸はG蛋白質タイプ別に約7割で1種に保存されていることを見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 14628
10.1038/s41598-017-15355-z