研究課題/領域番号 |
15H02733
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
矢野 博明 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80312825)
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研究分担者 |
岩田 洋夫 筑波大学, システム情報系, 教授 (60184884)
足立 和隆 筑波大学, 体育系, 准教授 (70221041)
澁谷 長史 筑波大学, システム情報系, 助教 (90582776)
田中 直樹 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (40754601)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 歩行感覚提示 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
前年度開発したハードウエアの安定性の向上とともに、最尤推定法を用いた歩行時のせん断力データの変化によって歩幅変更意図推定を自動的に判定するアルゴリズムを開発し、その有効性を検証した。歩幅増加傾向、減少傾向それぞれについて動作確認を行ったのちに、増減どちらが発生しても対応可能なプログラムを作成し、4名の被験者それぞれが事前に歩行した時のデータと実際の実験中にのデータも用いて学習を行うことで認識精度が向上し、ほぼ意図通りに推定が可能であることが確認された。また、被験者個人内での歩行スタイルの変化を学習データからの逸脱度から推定し、わざと歩行スタイルを変えるとそれがラベルづけできるプログラムを作成した。 一方、異なる環境を歩行する感覚を生成するために、月面を模擬した環境や水中歩行した感覚を生成するアルゴリズムを開発し、足を振り下ろす速度が地球の重力の6分の1相当に変化したこと、水中においては足の筋活動が実際の水中歩行のそれに近くなることを確認した。さらに、頭部搭載型ディスプレイと統合するプログラムを開発しバーチャルな歩行環境の映像提示を可能なテストベットシステムを構築した。動作確認としてプール内を歩くシステムを作成し、視覚提示と足への力覚提示の水位パラメータが一致していると知覚した水位が実際の水位に近づくこと、視覚的な水位と足に加わる抵抗力計算用の水位を一致させずに提示したところ、視覚的な水位に近い知覚をする視覚優位の傾向にあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、機械学習を用いた歩行者モデルの更新によってユーザの意図を汲み取りつつ歩行スタイルが変化する環境が整いつつあること、また物理パラメータを変更することで様々な環境を作り出すテストベッドも出来上がり、本格的な実験が可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに開発したシステムの改良を随時行いつつ、機械学習による協調歩行プログラムの改良として、これまで前後方向のみのせん断力を用いた歩行動作推定を足上げを含む3次元的な動作に対応させる。また、機械学習のデータの汎用化に関する研究を行う。さらに、月面や水中などの歩行環境の多様化を進める。一方、被験者実験として、平地や階段歩行時の本人の実世界での歩行時の歩行動作夜勤活動などのデータや時系列データを解析し、運動学的知見や被験者の主観評価と合わせて、アルゴリズムの有効性を検証する。合わせて、次年度に行う予定の歩行リハビリテーション実験に関する準備を進める。
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