研究課題/領域番号 |
15H02750
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
津本 周作 島根大学, 医学部, 教授 (10251555)
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研究分担者 |
平野 章二 島根大学, 医学部, 准教授 (60333506)
河村 敏彦 島根大学, 医学部, 准教授 (70435494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アクティブマイニング / 時系列マイニング / クラスタ分析 / 類似度 / クリニカルパス / 病院情報システム |
研究実績の概要 |
本課題の目的は,データマイニングを用いたクリニカルパス(診療工程管理)の自動生成を以下のプロセスによって実現するための基盤技術を研究することにある: (1)病院情報システム内に蓄積された診療記録・診療行為のデータから,各疾患の診療に必要な診療記載・検査および診療行為のデータを抽出。(2) 抽出したデータに時系列マイニング・系列マイニング等の方法を適用し,クリニカルパスを作成するための知識をマイニングする。(3)生成されたクリニカルパスを病院情報システム内に実装し,実際の診療において評価を定量的に行う。(4)評価に基づいて,不足したデータの追加を含むデータ収集を行い,手法の洗練化・新たな開発を行う。 本年度前半では,前年度に引き続き,マイニングの要素技術の開発を昨年度設置されたデータマイニングサーバを用いて行った。得られたマイニングの結果を用いて,専門家にインタビュー,本格的にクリニカルパス実行システムの開発を本年度設置の開発用ワークステーションを用いて行い,本大学附属病院設置の病院情報システムのテスト開発系との連携を図った。本年度後半には,評価領域としては,内科の場合に,技術的困難が見つかり,パスが比較的使用されている眼科領域にフォーカスをあて,クリニカルパスを逐次,病院情報システム本体に埋め込み,その実行記録をデータマイニングサーバに蓄積を試みた。サーバに蓄積されたデータに,これまで開発したマイニング技術を適用,診療支援システムの評価を行った。その評価に必要な情報あるいは前プロセスでは足りなかったと思われる情報の収集を目指し,データの収集のデザインを行い,さらにそのデータをデータマイニングサーバに蓄積した。 なお,本年度は国際会議ITQM2016にてBest Paper Award,ISME2016においてBest Paper, Runner-up awardを受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請においては,内科を対象領域とすることをうたっていたが,呼吸器内科(肺がん)および脳梗塞について,これまで提案してきた方法を適用したところ,予想以上に複雑なパスが生成され,精査したところ,入院病名(DPCコード)中に複数の病態が含まれているため,複雑な症例と簡易な症例が混じったパスが生成されてしまった。そこで,これら複数の病態をなるべく分離できるように,改めて,これまでとは異なる手法を適用し,結局,入院日数を基準とした混合正規分布クラスタリングを適用,その後,生成されたクラスタの特徴付けを行った後,再分類を施す方法を考案した。これによってより簡易なパスが生成させることが可能となった。しかし,これらと並行に作業を進めるため,このような複雑な病態を含まない領域を評価に用いるように変更するとともに,新たに開発・実装した方法の評価を行った。ただし,この方法については,まえもって目視でクラスタ数を推定するなどの処理が必要であり,今後自動化することが必要かどうか検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の遅れについては,29年8月の段階でおおむね解消する予定である。今後は,平成28年度までに開発したシステムを本院において稼働させて,代表者・分担者全員で,システムの評価を行う。さらに,本年度設置されるシステム評価用ワークステーションを病院情報システムに埋め込み,業務に支障がないように動作させる。さらに,アクティブマイニングプロセスのサイクルを積極的に回し,最後に本研究の総括を行う。。
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